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変化是機会(上野陽子)

第50回 中国で狙われる日本人って誰?

中国での生活も11ヶ月が過ぎ
不自由なく快適な生活を送りながらも

当初とは違った形で
「気をつけなきゃいけないなぁ」
と感じることが多くなりました。

中国上陸当初は
見るもの触れるものすべて驚くばかりで
慎重に慎重に行動をしていますが

滞在期間も長くなり、中国的感覚に慣れてくると
ついつい、陥りやすい間違いがあるのだと思います。

それは
「私達は外国人、日本人」ということを忘れてしまうこと。

「そんなバカな!忘れるわけないじゃん」と、思いますが、
案外、多くの人が、
この大事な意識を忘れ、痛手を被っている気がします。

例えば、オフィスを借りる際、

消防法に引っかかるかどうか、
グレーな間取りの物件があったとします。
(そういう物件は、まず避けますが...)

法規制に、あいまいなところがある中国では
「ま、大丈夫ですよ」と、よく言われます。

でも、その「大丈夫」は中国系企業に対して「大丈夫」であって
外資系、特に日系企業に対しては「ダメですよ」な場合が多いのです。

「大丈夫、大丈夫」を真に受けて、
最後の最後、最終的な検査で「ダメ」が出る。
そして、イチからやり直し。

中国では、よくある話だと聞きました。

同じく不動産関係で言えば、売買の際の税金。

法規制が頻繁に変わり、
特に、今の時期は短期転売時の税率が高いのですが

とある中国人から
「大丈夫、大丈夫。抜け道があるから」と言われました。

しかし、それを鵜呑みにしては危険だと思います。

脱税行為なので、中国人も、もちろん罰せられますが
取締りのターゲットになりやすいのは、私達、外国人でしょう。

理由は簡単。
外国人は何をしてても目立つからだと思います。

もっと身近な例で言えば
男性の方が、夜お酒を飲みにいくKTV。
(私にとっては、身近じゃありませんが(笑))

そこにも日本人ならではの落とし穴があるといいます。

過去、実際に中国であった話で、
まとまった人数でKTVに行き

羽目をはずしてしまった行為(=買春容疑)で
日本人団体旅行客が摘発される。
(日本でも報道されてましたよね)

同じような行動をしている人は他にもいるのでしょうが
さて、なぜ、摘発されてしまったのでしょうか?

まずは、「日本人だから」という
可能性が高いのではないでしょうか。

さらに、日本人であっても、
2~3人ぐらいのお客では、話題性もありませんが

10人とか20人とか、まとまった人数であれば目立ちますし
こういう「ネタ」は、高く売れるのだそうです。

「個人的な問題じゃない!
 日本人は組織、会社ぐるみで違法行為をするとんでもない国だ!」
と、日本バッシングに最適。

インターネットなどの普及もあって、
中国のみならず日本、世界への情報伝達も速く、インパクト大。
まさに、個人的な問題ではなくなってしまうんですね...。

お店、ホテルも被害を被るのに、まさか...と思いますが
ネタを売るのはオーナーではなく従業員だったりするかもしれません。

ちなみに、こういうケースの場合
一番重い刑が科せられるのは、客側の案内役、まとめ役の人だそうです。

外国に行くと、外国人だからこそのリスクが潜んでいます。

中国での生活に慣れてくると
自分達が外国から来ている「よそ者」である事を
忘れてしまいがちかもしれませんが

私達は日本人。
中国とは特別な関係にあるのだということを
常に意識しなきゃいけないと思うのです。

良い出会いに恵まれ、中国、上海の人々と親交を深めながらも
一方で、自分が「外国人、日本人」である事を忘れてはいけないのだなぁ、と
最近、つくづく感じます。

2006/07/24