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変化是機会(上野陽子)

第48回 口約束は、なにもないのと同じ

不動産仲介のお仕事で
いろいろな案件を見てきて、気づいたこと。

案外、日本の常識、ルールを
上海に持ち込んでしまっている方が多いのかも...。

その典型例が「口約束」

日本に比べて、中国、上海は契約社会。
いくら、口頭で聞いたといっても、
書面に書かれているのを確認するまで、安心できません。

例えば
総経理ご自身でビル・オーナーとの価格交渉を進めてて
埒が明かなくなって、コンサルティングの依頼が来た案件。

「賃料が高すぎるので交渉して欲しい」
というのがメインの依頼だったのですが

ふたを開けてみたら
すべて「口約束」で進められていて
価格交渉以前に、正式なオファーを受けておらず
そのオフィスが借りられるのかさえわからない状態。

「そんなはずはない!」って、総経理の方は驚かれてましたが
正式なオファー=「書面」を受け取っていない限り
交渉のテーブルに上がっていないのも同じ。

つまり、すぐに契約して引っ越さなくてはいけない状態でも
(現実的には、改装期間などが事前にありますが)

ビル・オーナー側から
「その部屋はなくなったので貸せません」
と言われたら、おしまいで
他のオフィスを、また探さなくてはなりません。

そして、そうやってあせって探している場合は
交渉の時間が十分にとれず、
結果、希望に沿わないオフィスを契約する場合が多いようですが

幸い、この件は、まだ間に合う段階だったので
現在、最終的な契約に向けて、お手伝いさせていただいてます。

日本だと
ビルの正式な担当者が「大丈夫です!」と力強く言えば
ほぼ、大丈夫なのかもしれませんが
ここ上海では、正式な書面を見るまで決して安心しちゃいけません。

「そんなの当たり前だよ!」と思っていても
実際、当事者の立場になると、冷静な判断が出来なくなるもの。

私も気をつけなくっちゃ。

2006/07/11