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上海から家族への手紙(天真爛漫)

第120回 頭が下がりました。

中国語を教えてくれていた女子学生が
この12月に突然北京に行くと言い出しました。

現在、大学4年生で
来年の6月には卒業予定です。
今年の5月の展示会を手伝いに来てくれて、
おもしろい子だったのと
日本語が離せないことが気に入り、
月1、2回暇な時に教えに来てもらっていました。

彼女は、
今年の6月からインターンとして
普通の貿易会社に勤務して、
土日に授業を受けるという形をとっていたので、
もともと自由な時間がなかったのです。

英語の能力と頭の回転は、
ずば抜けて高く、
半年経った今では、
人の2倍の仕事をこなし、
貴重な戦力となっているようでした。

12月には会社の旅行で
タイに行くことになり
初めての海外旅行なので
山西省の田舎に帰って
パスポートなどを準備をして
喜んでいたりもしました。

それなのに、
そのタダで行ける海外旅行も行かず、
あと1か月待てば、
ボーナス(普通月給の1-2月分)をもらえるのに
それも捨てて
あっさりと
北京にいって
修士課程に進むことにしたとのことです。

元々まじめで堅実な子でしたので、
先物取引とかで
モノが動かず、
机上だけのやりとりで
数億単位のお金が損得するということに
疑問を感じてはいるようでした。

しかし、
友人からも言われたといってましたが、
せっかく半年企業のために、
頑張ったのだから、
タイに旅行して、
ボーナスもらってから辞めればいいではないかというと
タイに行ったら、
きっといろいろと飲み食いするし、
買い物もするだろう。
そのお金は、
北京での生活に充てないといけない。
両親には大学に入った時から
援助はしてもらってないが、
心配をかけたくないから
無駄な浪費は避け、
自分の目標にまっすぐに進みたいということでした。

彼女の専攻は、
イギリス文学で
いつも洋書をカバンに入れていました。
北京大学の修士をとりたいと
言います。

他のひとから
聞いたのですが、
中国はまだまだ学歴が物を言う環境であり、
実際上、どんなに能力があり、
実績を上げていたとしても、
学歴が高い人が
実績には関係なく
先に昇進していくことが
多いそうです。

そういう問題も含めて、
彼女が今回北京行きを
即断したのだなと気付きました。
中国人も豊かになり、
ハングリー精神がなくなりつつあると
耳にしたり、
感じたりすることが少なくないのですが、
久しぶりに
頭をガーンと打たれる思いでした。

なんとも潔い決断に
アッパレと拍手を送りたいと思います。

 とうさん

 

 

2012/12/15