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上海から家族への手紙(天真爛漫)
第63回 せっかく日本人なのに・・・
まっちんへ
先日、腹立たしいことがありました。
上海の人気のある日本うどん店のことです。
注文をしてから、30分経ってもうどんがでてきません。
店員にどうしたのかと聞くと
今日は忙しいからもうすぐできあがりますとのことです。
しかし、
とうさんが店に入ったのは、
昼の一時を過ぎたあたりですから
さきに来た客は食べて帰るばかりですし、
あとから来る客はありませんでした。
要は、
注文を忘れてしまったのです。
それならそれで、
「申し訳ありません。手違いでした。」と正直にいえばいいものを
「忘れていません。」「もうすぐ、きます。」というばかりりです。
マネージャーを呼ぶと、
父さんのいる前で、
マネージャーは、その店員に向かって
「そんなのは、あやまっとけばいい。」
「注文が来るのが遅くなるのは、運が悪いからだ。」とのたまう始末です。
これらのやりとりのなかには、
残念ながら日本人の店員も含まれています。
あきれかえって、
店を飛び出したくなりました。
中国のレストラン、中国人のレストランならあきらめます。
値段も中国の値段ですから、仕方ありません。
しかし、その店は
しっかりと日本人相手の4-5倍する値段設定です。
こんなサービスしかできないのなら、
少なくとも
価格を中国並みの値段設定に変えてほしいものだと思いました。
邱永漢さんは、日本育ちの人はそれだけで、
外国で十分やつていける力が備わっているのだといわれています。
「日本に育つと、日本的な立ち振舞いが常識として身に着きます。
言われたことはきちんとやる責任感とか、
同じことをやっても完璧主義にこだわるとか、
対人関係ではサービス精神を貫くとか、
日本人としてはごく当たり前のことが、
大人になっていくプロセスで自然と身に着いてしまっているので、
それが外国で社会生活をやっていくうえで非常に役に立つのです。」
と本の中で書かれています。
この店も
最初は、きちんとしていたのかもしれません。
ただ、中国で成功して
店が増えていくことに
目が届かなくなったのか、
手を抜くようになってきたのかわかりませんが、
残念ながら最近、
うまくいっている日本人のお店でも
このような傾向を感じることがあります。
せっかく日本人なのだから、
日本人の長所は
失ってほしくないものです。
とうさん
2011/08/21