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上海から家族への手紙(天真爛漫)

第46回 なかなか難しいです。

まっちんへ

4月になり、新しい年度がスタートしました。
こちらは、また寒さがもどってコートが離せません。
コブシかハクモクレンの花が満開で、
桜はまだ咲いていないようです。
4月5日は、
清明節(中国ではお墓参りをするようです)のお休みなので、
花見にでかけられたらいいなあと思っています。

ところで、
年度がわりにあたり
様々な事務手続きを行いました。
スタッフの労働契約の更新も行いました。
初めてのことなので、
なにがどうなっているのかさっぱりわからず、
ひとつひとつ本を読んだり、
人に尋ねたりしたのですが、
給料の仕組みが複雑でした。

契約書に「給料」と「手当」という項目があるのです。
どう違うかわかりますか。
手当というのは、
日本では住居手当とか、扶養手当とか、管理職手当など
それぞれ何か目的がはっきりしていて支給されるものと理解しています。
中国では、
「手当」は給料とほぼ同じなのです。
異なる点は、「給料」はそれに応じて各種の社会保障費を支払うことになるのですが、
「手当」はいくらもらおうが、全額懐に入るお金ということになっているようです。
平たく言うと、
社会保障費を払わなくてもいい給料が、「手当」ということのようです。
そこで、会社と従業員は給料は最低賃金にしておいて、手当で手取り額を調整しているようです。

そして、さらに厄介にしているのが、
「五険一金」と呼ばれている社会保障費です。
「五険一金」とは、
養老保険(年金)
失業保険
医療保険
公傷保険(労災保険)
生育保険(出産保険)
住宅積立金
です。
最低賃金が引き上げられたり、昇給したりすると、
これらの社会保障費も当然引き上げられます。

一人、二人でも
面倒だなと思ってしまうのに、
何百人、何千人と雇用されている企業の方々には
これらの負担は半端なものではありません。
今年は、中国全体で約20パーセント位賃金があがりました。
今後もこの傾向はしばらく続くでしょうから、
中国の労働者の生活水準が高くなることはいいことですが、
日本企業は、
稼いでも稼いでも
もうけにつながらないということになりかねません。
でも、やっていくしかないということです。

 とうさん

2011/04/03