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海外投資の税金、本当はどうなってるの?(田島太一)
第3回 「税金なんか払うもんか」は社会的常識に反する
《日本から外へ飛び出すときに、税金の心配をするのは二の次です》と同書に書いてあります。私なぞは根が心配性で慎重派ですから、海外で儲ける前に税金のことをついつい心配してしまいます。ではどうして「税金の心配をするのは二の次」なのでしょうか?同書ではこう続けています。
《そうした心配は、お金が儲かるようになってからでも、間に合います。どうしてかというと、たくさんの税金を払わされるところまで辿りつく前に、事業に行きづまってしまう人のほうが、ずっと多いからです》。まったく、その通りです。儲けなければ税金なんて関係ないんですから。
……いや、待てよ。本当にそうなのだろうか。儲けなくても払う税金ってあるよな?と自問すると、すぐ思いついたのは消費税でした。ましてや海外で事業をするとなると、関税とかだって関係が出てくるかもしれません。ただそこに住んでいるだけで払わなければならない、昔でいう人頭税的な発想でいくと住民税だってあります。
そうです、税金にはいろいろあるけれど、同書で主に取り上げているのは、稼いだ「所得に対する税」なんです。日本でいえば、個人が稼いだ所得に対する税は所得税、法人が稼いだ所得に対する税は法人税ということになります。同書では、この「所得に対する税」をメインに取り上げているということです。それを前提に今後も本当のところを考えていきましょう。
では、海外で儲けた場合。その儲けた金に対して税金がかかってくる場合があるわけですが、そこは税金ですからなるべく払いたくないというのが人情です。でも、それを実行に移すのは問題です。同書もそこはこう指摘しています。
《「税金なんか払うもんか」と息まくことも、社会的常識に反します。治安の悪い、公共施設のまるでできていない国に行くと、自分たちも分相応の負担をしなければなりません。「まずは、この道のでこぼこを何とかしてもらえませんか」という気持ちになるはずです》
海外当地で儲けさせてもらった以上、その国のインフラを色々と利用させてもらっているわけですから、それ相応のものは払うべきというわけです。
2010/11/03