戸田ゼミ通信アーカイブ トップページ >> パラン・パラン(スエナリ)
パラン・パラン(スエナリ)
第256回 ガリラヤ湖の猫
テルアビブの海岸沿いのホテルから乗ったタクシーの運ちゃんは
くだけたかんじの男で、クラシックを流しながら、
ピーナッツを齧っています。
流れるような耳さわりのいい音です。
ときたま、あれが古いシナローグだと、アゴでさします。
道路の真ん中の遊歩道のスシ屋台で若いペアーが
長い箸でつまんでいます。
視線が会うと笑って、手を振っています。
セントラルバスステーシャンの6階から
ティベリヤ行きバスがでる。
N830です。
このバスステーションは6階まであって、
各階から、イスラエル各地へ出ています。
空港は当然なのですが、
バスターミナルや鉄道駅の出入りは、
荷物検査とあの長細い枠を通らねばなりません。
ホテルの出入りもそうです。
土日か祭日だったせいか、
若い兵隊さんが沢山、バスや汽車に乗り降りします。
女性も多いです。
中には、自動小銃をきらくに肩にかけて、
バスに入ってきます。
前の、ジーパンを穿いた若い男は腰に拳銃を
無造作に挟んでいる。
身分証を見せるとフリーです。
ティベリアのバスステーションに着いたのはPM7;10分
帰りが心配になって運転手のおじさんに聞くと、
PM7;40分だと言うのです。
このバスが折り返して戻るのです。
出てきたのがPM3時30分でした。
曇り空で、途中から雨が降ってきました。
道路わきには糸杉や枯れた草木が過ぎていきます。
出るのがちと遅かったのです。
30分でガリラヤ湖まで行って戻ってこなければなりません。
暗い湖畔のみぎわに、猫が3匹と、
頭にヘッドランプを点けた男がふたりいました。
テーブルとコンロがありましたから、
釣りでもしてたのでしょうか。
往復7時間バスにゆられて、
夜のガリラヤ湖畔に
たむろする灰色の猫を見てきただけでした。
2012/01/27