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アジアに魅せられて(おにぎりパクリ)
第6回 農業製品の需要の逼迫とグローバル化!
2月19日の20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)にて
とうとう食糧問題が取り上げられるようになりました。
議長国のフランスが主要議題の一つに掲げる食糧,食品価格の
高騰問題により、6月には農相会議まで開催されることになり
ました。
チュニジア、エジプトの政権崩壊の遠因には、食料品の高騰を
含めたインフレもあるそうです。
食料が足りなくなるという話は、1995年に出版されたレスター
ブラウンさんの「だれが中国を養うのか」にて詳しく記述されて
います。
この本は特に中国の食糧自給率の課題を中心に取り扱っています。
第一に、中国内で工業化に伴い農業用の耕地が失われること、
第二に中国の人が豊かになることで穀物を何十倍も消費する肉、
その他ビール、乳製品、食用油、砂糖などの消費量が増大すること、
第三に工業化によって水が不足することになることを挙げています。
彼の試算では2030年に年産の穀物消費量が300キロになると需要が
供給を2兆トン以上上回り、中国が自給率が60%以下になることを
予測・警告しています。
中国は人口が13億人と規模が大きいことから、食糧を輸入することに
なると、世界経済に影響を与えることを指摘していました。
一方、邱 永漢さんも、現時点の中国の食糧自給率95%が工業化に
よってやがて下がっていくこと、また今後13億人の食糧を供給出来る
国はどこにもなく、この問題解決に対しては自国の供給量を増やして
いくことが重要であることを指摘しています。
玉村豊男さんの「邱永漢の「予見力」」では邱さんが食糧の不足を
補うための大規模農業に目を付け、牛肉、トマト、コーヒーなど
様々な農業技術を日本から持ち込み、現地でビジネスにしていく
様子が記述されています。
私もフィリピンにいる時に日本に向けてオクラなどの農作物を輸出
している話を聞いたことがあります。
日本では地産地消が叫ばれていますが、街の八百屋でも(多分日本人が
指導して生産しているであろう)中国産の椎茸の方が日本産より肉厚な
こともあります。
世界の最適な場所で日本の技術を利用した農業の生産がされていく時代
になっているようです。
2011/02/21