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本当に面白い簿記・会計(おにぎりパクリ)

第8回 月次決算で経営を改善する!

お金の動きは入ってきたお金と出て行ったお金という観点で捕らえます。
経営は毎日・毎時間・毎秒の単位の意思決定で進められます。
その動きは資産、負債、資本、収益、費用の各科目
ごとの残・増・減・残で表されます。
この積み重ねが月次決算となります。

企業会計には、制度会計といって商法、証券取引法、税法
などの法律や法規にそって正しい決算書の作成に役立つものと
経営会計といって、利益をあげるために役立つもののふたつが
あります。

どちらも重要ですが、経営の改善に利用されるために
使われる経営会計での視点がまずは重要です。

金額は数量×単価に立ち戻り、科目の増減を経営の動きとして見ることで、
月次による経営成績の把握は経営の中で起こる事柄や
仕事の改善などに大いに役に立ちます。

例えば、懸案となっていた顧客との折衝等も終わり、
600万円の売掛金の回収が出来たとします。一方、売上は不況下に
おいても単価の下落も起こさず、順調に売上高が製品5,000円×1,000個売れ、
500万円計上されたとします。
月初の現金は1,000万円、売掛金残高は500万円でした。

それぞれの取引を以下に述べますと、
1、100万円の売掛金回収
現金(増) 100万円 / 売掛金(減) 100万円
2、500万円の売上計上
売掛金(増)5,000円×1,000個 500万円 / 売上高(増)5,000円×1,000個 500万円

上記の取引を科目別にすると
1、 現金
残(月初) 1,000万円 増 100万円 減 0万円 残(月末)1,100万円
2、 売掛金
残(月初) 500万円 増 500万円 減 600万円 残(月末)400万円
3、 売上高
残(月初)0万円 増 500万円(5,000円×1,000個)減 0万円 残(月末)500万円

この各々の動きを見ると、売上は順調、売掛金も順調に
回収されていることが分かります。
このように、月次決算を把握することで、幾つかの目的を達成出来ます。

一つは、月次損益予算と実績を対比することで、全社や事業部、
製品、工場ごとの問題点、予算に対する達成度を掴み、
的確な改善策を迅速に実施できます。

二つ目に、営業成績、財産の状況が毎月把握でき、
会社全体、事業部、工場、研究所などの行動を計数面からつかめます。

三つ目に、月次原価計算を行えば、製造管理者にコストダウンに
必要な月次の原価情報を迅速に提供できます。

四つ目に、利益責任部門となる事業部が自らの行動を数値でチェックし、
業績向上に向けた望ましい行動を検討できます。

更に、棚卸資産、売掛債権、仕入れ債務、借入金残高が効率的かどうか、
各費目別の部門経費や金利などの予算・実績比較分析が出来ることで、
一人一人が、会社と自己の目標を達成できる機運が出来る等多岐に渡ります。

月次決算実務については、金児 昭さんの「月次決算の進め方」に詳細が記載されています。

2009/02/23