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知者不言、言者不知(村上悠悠)

第11回 残酷な仕打ち

2年前に引退したアメリカの
最高裁判事をご記憶でしょうか?

9人の最高裁判事のうち
当時、4人が保守派、4人がリベラルの中
オコナー判事は中道(保守寄りですが)だったため
彼女の判断がアメリカの判断になる!
ということになり、
「オコナーの時代」と言われていた。

24年にわたって活躍してきたオコナー判事が
辞任を決意したのは家族の介護のためでした。

アルツハイマー病を患う夫と過ごす時間を
優先させることでした。

ところが、先月、夕刊のコラムでビックリするような
意外な展開を知りました。

「アルツハイマーの恋」と題したコラムには
長年連れ添った夫が、妻が、アルツハイマー病になり、
配偶者を忘れ、同じ病気の異性と恋に落ちる。
こんな理不尽なことが起こっている。
アメリカの元最高裁判事の女性が
「アルツハイマーの夫に、同じ療養所で生活する恋人ができた」
と公表した、ということだった。

公表を報じたCNNの番組で医師は
「配偶者を完全に忘れたのではなく、
その人が配偶者であることを忘れている」と解説していた。

50年連れ添った夫が
自分の目の前で他の女性とキスをするのを見て
彼女は、どれほどやりきれない気持ちになったことだろう。

時として神様は
とんでもなく残酷な仕打ちをなさるものです。

でも、これは、オコナーさんだけでなく
これから、多くの人を襲うことかもしれません。

2008/03/17