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宝船 巨龍にかける 夢無限大(森綾子)

第8回 明けて2004年、かわいい含み益

 「二度と同じ轍はふむまい」

大シケに遭遇したことが教訓となり、
自分の投資スタイルがハッキリしてきました。
鉄壁で守りを固める方向へと収斂されたのです。

●ホームランを狙わず、ヒットを積み重ねる

私は誓いました。

 「暴落しても決して狼狽売りしない自信が持てる株で固めよう」

中国株に投資するだけで、既にリスクはとっている。
よって更なるリスクは避ける。
主にインフラ株に重点を置いたのです。

余談ですが、
このころ、私は投資対象としての「北京」に疑問を感じていました。
HiQの邱先生のコラム、柳田洋氏のコラムを読み、

 北京は官僚主義的で非効率
 上海や広東は商人気質でしたたかだ
 全ての条件が同じなら北京を避けた方が賢明だ  

自分の中で、このような「北京観」が醸成されてきたのです。

翻って我が国を見れば、
日本の官もまた、非効率で既得権にしがみつく状況です。
そんな日本にウンザリし、中国に活路を求めたのに、
北京でヘンな会社経営をされてはたまりません。

この判断が正しかったのかは、今もわかりません。
ただ、当時の私はこの考えにとりつかれていたのです。

●キャピタルゲインよりインカムゲイン重視へ

配当金は不労所得であるため、魅力的です。

器用な人なら、株から株へと素早く乗り換え、
キャピタルゲインを増やすことができるでしょう。
しかし、私には無理そうです。

そこで、中国の成長とともに
配当金が増える、
株価も上昇する、
意識的にそのような投資を指向したのです。

この考え方は、
高度成長時代の日本で、
収益的な不動産物件に投資し、
賃料の値上がりと
物件の値上がりを享受する発想に
似ているかも知れません。

もっとも、成長企業の場合、
必ずしも配当金を出すことが良いとは限らない、
という考え方もあり、留意が必要です。

典型例はマイクロソフト。
数年前までは、
株主に配当金を出すよりも、
そのお金をビル・ゲイツに事業で使ってもらう方が
よほど有効活用になると考えられていました。

さて、2003年後半、香港市場。
人民元切り上げ期待、
QDII(*注)期待などがあいまって、
半年間にわたる株価の上昇が始まりました。

明けて2004年。
難破船だった私の口座に
かわいい含み益がでているではありませんか!

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(*注) 「QDII」 用語解説

「適格国内機関投資家(QDII、Qualified Domestic Institutional Investors)制度とは、一定の条件を満たした国内の機関投資家に海外の証券投資を認める制度。中国でこの制度が導入されれば、中国本土の投資家 が、海外の証券にも投資できるようになる。 QDII制度を巡っては、第1弾の解禁対象が香港市場になるとの見方が有力で、香港市場にとっては株価の押し 上げ要因になると期待されている。」

(『中国株二季報 2005年夏・秋号』 株式会社T&Cトランスリンク 2005年発行 を参照した)

2005/10/03