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宝船 巨龍にかける 夢無限大(森綾子)
第6回 哀れ私は悲しき「カモ」
1815年、ワーテルローの戦い。
ナポレオン敗北、イギリス軍勝利のニュースをいち早く知った
ロスチャイルド財閥は、
大暴落中のロンドン相場を舞台に巨万の富を築いた。
この日、一夜にして破産した名門貴族たち、
哀れ、その名は悲しき「カモ」。
* * *
さて、偉大な投資家から多くを学んだ私は、
スマートな投資手法に舵を切り、
正しい株式投資を始めたのでした・・・
といいたいところですが、さにあらず。
暗く長いトンネルがまだまだずっと続いたのです。
例えば、こんな風。
戦争やSARSに弱い銘柄を、底値付近であわて売る。
北京空港、黄山旅行といった旅行関連株や、
青島ビール、吉之島といった消費関連株です。
騒動が始まったばかりの傷が浅い時期に
急いで売り抜ければ良いのですが、
事態が混迷の度を深めるに及んで
真っ青になって叩き売るのです。
かと思えば、売った株が少しでも上がると、
「しまった。こういう時こそ、買いチャンスだったのだ」
と後悔し、逆に飛びつき買いをする。
長期投資を目指したハズが、やっていることは短期売買。
SARSの患者数に青ざめ、戦争の動向に一喜一憂する。
まるで魚の群れのごとく、右向け右、左向け左と、
百戦錬磨の投資家の網にどんどんかかる、
私は「カモ」。
しかも、自分の カモ ぶりがわかっていても、
どうしても カモ をやめられないのです。
この間、邱先生やバフェット氏の素晴らしい本を手にし、
中国の成長を信じて疑わなかったのに、
頭と手足がバラバラに動くのでした。
この試練の3ヶ月は、振り返れば一過性。
しかし、渦中で3ヶ月も株価が乱高下、
というより乱下下したら、
思考力は鈍り平常心は失われ、
売りまくって逃げ出したい衝動に駆られたのです。
そして。
イラク戦争とSARSがようやく終息したとき、
私の銘柄数は半減していました。
哀れ、カモがジタバタと大ナタを振るったおかげで、
はからずも、ポートフォリオの大整理につながったのです。
怪我の功名とでもいうべきか、
可笑しくも 悲しきカモの 口座かな
2005/09/19