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宝船 巨龍にかける 夢無限大(森綾子)

第4回 もしやこれは巨大な龍?

前回、中国株のデパート状態を開陳しましたところ、
「あれを読んで、自分だけではないことを知り、ホッとした」という方が、
思いのほかいらっしゃることを知り、びっくりしました。
正直なところ、私自身も
「自分だけではないことを知り、ホッとした」のであります。

さて、イラク戦争とSARSで危機感を募らせた私は、
なんとか、この状況を打破しようと、
投資に関する本を必死に求め読み、
そのプロセスで偉大な先人投資家から多くを学んだのです。
なかでも特筆すべきは、
邱永漢先生とウォーレン・バフェット氏の二人です。

まず、邱永漢先生。
当代を代表する中国通にして株通といえば、
邱先生の右に出る人はいません。

多くの人々が、
「一国両制」、「共産主義市場経済」
の先行きに疑念を抱いていた頃、
邱先生は、アジアと中国の未来について、
当意即妙な表現で、大まかな見取り図を示されていました。

 「アジアの勃興 アメリカに諸行無常の鐘が鳴る」
 「中国大陸が香港化する」
 「GNP1500ドルでマルクスにバイバイ」

つまり、こういうことです。
21世紀は中国が台頭し、アメリカが凋落する。
中国は香港をお手本に経済発展するだろう。
そして所得が増え、生活にゆとりができれば、
マルクス共産主義主張など吹き飛んでしまう、
だから心配無用だと。

また、日本人にとって不可解な、
中国社会特有の習慣や思考回路についても
言及されています。

 「賄賂、汚職が横行するコネ社会」
 「利己主義で公益優先の思想がない」
 「代金回収が一筋縄ではいかない」

中国は、未発達でガタガタした社会だ。
だからこそ、ビジネスチャンスもある。
日本の常識で中国の問題点を批判しても無意味だ。
むしろ、彼我の違いをよく理解し、チャンスを活かせと、
邱先生は、繰り返し説かれているのです。

さらに、株についても踏み込んだ発言をされています。
 「上海株式市場がアジア一の賭博場になる」
 「マイカーブーム、マイホームブーム」
 「中国は高度成長のまだ玄関口」

こうして、中国や中国株についての理解が深まるうちに、
私は、次第に次のように感じ始めたのです。
中国株には、予想をはるかに超える可能性がありそうだ。
それは生涯を通じて二度とめぐり合うことのない
大きな鉱脈ではなかろうか?

邱先生の向こうに
巨龍の姿が見え隠れ・・・

2005/09/05