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とことこ古都散歩(宮田琴)
第3回 鬼門を守るもの −京都御苑・猿が辻−
室町を北にあがって三条まできたら、
もうひとふんばり歩いて20分ほどで烏丸丸太町、
京都御苑の木々が見えてきます。
京都御苑は市内の中心部にありながら
ゆたかな緑につつまれた市民のいこいの場です。
ランニングする人、絵を描く人、
お弁当をひろげる人、散歩する人…
みんなそれぞれの楽しみ方を知っています。
その敷地内にある、通称・内御所(うちごしょ)の一角に
ある生き物の彫像が鎮座しています。
方角は、丑寅。つまり北東。
陰陽道で魔が出入りすると言われる方角です。
この一角だけ内御所の敷地は切り取られています。
角を切り取ることによって丑寅の鬼門を封じているのです。
御所の外側、北東方面には上賀茂・下鴨神社、さらに先には比叡山。
トリプルガードの完全防備ですね。
でも決め手はこの彫像です。
実はある生き物とは、「猿」なのですが
鬼門を守るのはなぜ「猿」なのでしょうか?
答えは
「鬼門に集まる魔物が去る(猿)ように」
という駄洒落なのだといううわさがあります。
内御所の角をきりとる作業をした宮大工が洒落で置いたとも
言われているそうですが昔の都人には愉快な人がいたものだと
なんだか明るい気持ちになります。
意気揚々と都になぐりこみを掛けようとやってきた魔物も
「こんなん言われたらやる気もでぇへんわ、やってられへんわ」
とすごすごと引き返したんじゃないかしらと思ってみたり。
笑いをもって、魔を制す。なかなか良いですね。
京都御所が私達の癒しの場となっているのも
このお猿さんが私達を守ってくれているからなんだと思います。
そう、現代の魔物「ストレス」から…
追伸:
本来、この猿は日吉山王社の使者とされており
丑寅の反対の方角、つまり南西を裏鬼門として、
その方角の干支である申を配置したという説があります。
鬼門封じと五行思想との関連についてはくわしく説明された
すぐれた本がたくさんでていますので、ぜひ本屋さんで見て下さい。
場所:京都市上京区京都御苑内
最寄り駅:京都市営地下鉄「今出川」、市バス「同志社前」「河原町今出川」
ちょっとお茶でも:手作りケーキ「童夢」※リンク切れのため、リンクを削除しました(2015.06.28)
2005/08/29