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融通無碍(久遠善行)
第2回 餓死しないように
内観療法・・・
私も一年前までは聞いたこともない研修方法でした。
戸田先生に「内観という修行に行ってきます」とお伝えすると
「その研修は知る人ぞ知る研修方法だ。餓死しないように」と
仰られたのを記憶しております。
「え、餓死?・・大げさだなぁ・・・」と正直、内心思いました。
今回、自分は友人のおススメの内観研修所に行く予定であり、
事前の情報では3度の食事はきちんと出る(かつ、とても美味しいと聞いていた)ので
餓死どころか、痩せて帰ってくるってことすら無いかな・・と
研修に向かったのでした。
研修は、日曜日15時からスタートし、翌週の日曜日の9時に終了します。
起床は5時(早っ)。5時半より面接。就寝は21時(これまた、早っ)。
部屋の隅に屏風を立て、その中で籠って思い出す作業を行います。
テーマは3つ
「してもらったこと」
「して返したこと」
「迷惑をかけたこと」
時代を3~6年で区切って
幼少期→現在にかけて順々に思い出します。
内観療法を一言で言ってしまいますと、「懺悔」と言えるかもしれません。
一時間半から二時間間隔で先生が面接に来ます。
面接では、先生が
「この時間、どういうことを御調べになりましたか?」と(決まり台詞で)尋ねてこられるので
「この時間は母に対する小学校入学前の自分を調べておりました」
「してもらったことは~」、
「して返したことは~」、
「迷惑をかけたことは~」と報告します。
報告後、
「では次の時間はどういうことを御調べになりますか?」と(これまた決まり台詞で)尋ねるので
「次は、母に対する小学校低学年時代の自分を調べます」と3~5年シフトした時代を回答します。
このような感じになります。
母に対する「小学校・入学前」の自分 ×「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」
〃 「小学校・低学年」 〃
〃 「小学校・高学年」 〃
〃 「中学校時代」 〃
〃 「高校時代」 〃
〃 「大学時代」 〃
〃 「22歳~ 」〃
〃 ・
〃 ・
〃 ・
学校卒業後は、3年~5年単位で現在の自分の年齢までを行います。
母が終わったら父へ。父の次はランダムに人選して良いようです。
兄弟、祖父母、お世話になった人など相手を変えて行います。
食事の方は、お膳で屏風の前まで持ってきて下さいますので、
屏風を半開きにして頂きます。
洗面、トイレ、風呂、お膳を下げるとき以外は部屋から出れません。
勿論、ケータイやパソコンなどの電子機器の使用は不可で、
世間の情報からは隔絶されます(=プチ浦島太郎になる?)。
3度の食事時になると、他の内観修行者のテープが流れてきます。
テープを聞いて驚きました。
録音が昭和四十X年とか可也古く(我も生まれておらず、テープは玉音放送のようにブチブチ音を立てています。)、
歴史がある研修方法であったこと。
そして、テープでの研修者の中には
丸一週間、断食しつつ内観している修行者が居るのです。
「マジかよー、普段の昼飯抜いただけで頭回らなかったりするのに~いっ一週間!」
と思ったのと同時に、
ここで初めて出立前に戸田先生が仰った言葉
「餓死しないように」とが繋がりました。
えぇっと、この修行ってこんなに荒行だったのかと
ちょっと心の手綱が引き締まりました。
2009/09/07