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丘の上から(小日向次郎)
第31回 ドバイへ③
ドバイ首長国は決して多民族国家とは言えませんが、
経済活動においては多国籍人種による運営が行われて
いるのは間違いありません。なんとも面白い国です。
経済を支えているのはインド人やパキスタン人、
そしてフィリッピン人。
フィリッピンの人は陽気で英語に長けているため、
お手伝いさんや会社の受付が多いようです。
さて、私にとって初めての中東でしたので、
中東文化の話を聞くことがありました。
どこの国のお話か忘れましたが、
厳格なイスラム教国にアメリカ人技術者が派遣されました。
空港での手荷物検査時に「コーランの教えに従い」
海岸沿いの砂浜で取った家族写真を没収された
(多分肌の露出度のことだと思う)、
早朝部屋のスピーカーからコーランが流される、
ガソリンスタンドの給油がお祈りの時に止まる
(外気温が高いと待つほうはたまらない)と大変なようです。
ドバイとその周辺地域は砂漠です。総ての建築物は砂の上にあります。
欧米に今まで流れているはずの資金が(どのような理由かは存じませんが)
膨大に来たためにできた街です。
開発が進んでいる国には、2つの流れを持つプロジェクトがあります。
1つは大型案件、もうひとつは小規模案件です。
大型案件はグローバル企業がすることがほとんどですが、
小規模案件は魅力的です。
小規模案件のうち、小規模案件ながら品質の良いモノを
求めている事業主がいます。
隙間が生じたところを市場として捉えるというものです。
小規模案件の遂行者は現地との関係が深いため、
細いかもしれませんが芯が太く長いキャリアを構築できると感じました
(但し、ニーズと販売価格に折り合いがつけばですが)。
ドバイには10日間いました。
夜行便で香港へ、乗換えて仕事のため台北に入りました。
さて、砂の大地に自分を置いたとき、
その風景はとても熱くて厳しいものでした。
幾千の旅人や商人に対して敬意を表します。
ドバイからの空路でしみじみ思ったのは、
日本人にとってごく当たり前にある、
水と緑のありがたさでした。
2010/07/23