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丘の上から(小日向次郎)
第13回 愛読書「坂の上の雲」より
NHKの大河ドラマ「天地人」と「龍馬伝」の間に、
「坂の上の雲第一部」が放送されました。
原作は故司馬遼太郎で、舞台は明治時代に勃発
した日露戦争で登場する日本陸軍騎兵を育て上
げた秋山好古と日本海軍の主席参謀でロシア
艦隊迎撃の作戦を立案した秋山真之の物語です。
この作品は文庫本にすると8巻もある長編小説で、
部分ごとに繰り返し読んでいます。好きな部分と
いうのは特にありませんが、その時その時により
読みたい場所が違います。
さて、第一部で放送されたのは文庫本で1巻と2巻。
テレビではごく短い時間でしたが、自分にとって
普通のことを再認識する場面がありました。
下記に抜粋します。
主人公である秋山真之がワシントンでの駐米武官
時代、アメリカ合衆国海軍で作戦を担当していた
退役軍人マハン大佐との会話です。
「過去の戦史から実例をひきだして徹底的に調べる。
戦いの原理にいまもむかしもない。 陸と海の区別すらない。
陸戦を調べることによって海戦の原理もわかる。
陸軍の兵書のすぐれたものはことごとく読むことである。
その他、雑多の記録も読む必要がある」
「それから得た知識を分解し、自分で編成しなおし、
自分で自分なりの原則原理をうちたてること。
自分でたてた原理原則のみが応用のきくものであり、
他人から学ぶだけではつまりません」
(文春文庫「坂の上の雲」、第2巻を参照してください)
上記文中の「海軍」を同業者、「陸軍」を「他産業」、
「戦争・戦い」を「ビジネス」という言葉に置き換えてみては
いかがでしょうか。
日頃さまざまな新聞記事やインターネットでの情報に接し、
ケーススタディを研修やゼミでされる方も多いでしょう。
事象はそれぞれの行間に本質があり、本質を見つけるには、
やはり情報量と練習量がすべてなのでしょうか。
日常で得られる情報や勉強したものを自分の原理原則に仕上げる
作業は、「自分らしさ」の追求から始まり一生続くことになると思い
ます。
主人公秋山真之は優れた頭脳の持ち主ですが、我々のような
凡人もコツコツと上記の訓練をすることはとても重要で、
そこで何か感じたらこれは貴重だと思います。
「坂の上の雲」をまだお読みになったことがない方も是非、
一度読んでいただけたらと思います。
NHKは時間をかけてこのドラマを撮影しているようですので、
今から読み始めても間に合うと思います。
あと、この作品に出てくる登場人物で、自分が演じたい人物は
どなたでしょう?これもまた考えると面白いかもしれません。
もしいらしたら、小生に教えていただけないでしょうか。
お待ちしております。
2010/03/19