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中国名言と株式紀行(小林 章)

第67回 中国・天津にて/中国株日記 (32)

【NO.33】中国、天津にて(32)
この所の2007年12月期の本決算発表が相次いでいる中、雲南馳宏鋅鍺(600497)の決算発表が3月6日にありました。

この上海A株市場に上場する銘柄について、少し触れてみたいと思います。

この銘柄は、昨年の決算発表時に好決算&高配当で、中国株式史上過去最大の配当案を発表し注目されました。
雲南馳宏鋅鍺股份有限公司は、会社名の通り雲南省にある亜鉛やゲルマニュウム、鉛などを産する有望鉱山を有し、採掘から精錬、販売を手がける国有企業系傘下の株式会社です。

今年、注目の決算発表結果は、経年の比較もして書き出しますと、以下のようになります。

      売上     純利益    1株利益
03年  6.35億元 3656万元 0.406元
04年  7.14億元 5892万元 0.431元
05年 11.67億元 1.31億元 0.818元
06年 44.57億元 10.4億元 3.129元
07年 61.11億元 13.1億元 3.361元
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   1株当たり 現金配当  無償株配  無償増資
03年  0.28元(含税)
04年  0.30元(含税)
05年  0.50元(含税)
06年  3.00元(含税)   1株
07年  2.00元(含税)   0.5株  0.5株

この会社の2006年と2007年の本決算時の配当は、現金配当が1株当たり3元と2元となっています。この会社の1株の額面は1元ですが、何と額面の3倍と2倍の現金配当が出されました。
しかも、両年とも持ち株1株に対して、株主に1株の無償配布というおまけまで付きました。

日本の株式市場が株価の急激な低下で、その高配当が見直されるべきだ、との意見を述べる証券アナリストもいますが、日本での株式配当(キャピタルゲイン)は高配当と言っても、株式価格に対してせいぜい3%程度でしか有りません。上場企業の平均配当は、せいぜい1%台でしょう。

仮に、東京株式市場で、1株の額面50円の株に期末配当金を50円支払ってくれる上場企業があるでしょうか?

上記の中国株では、例えば1株の額面50円の株に100円とか200円の期末配当金が株主に対して実施されるという、日本株ではあり得ない、とんでもないことが起きているということです。

中国市場では、決算発表があって配当案が実施されるまでに株主総会を経て(1ヶ月から3ヶ月後)、配当の権利確定日までに1ヶ月以上の日時を要しますし、その間も市場での株売買が認められていますので、この間に高配当銘柄を仕込んでおけば、この配当金を得ることが出来ます。

06年末頃のこの会社の株価は1株45元前後でしたので、1千株(4.5万元=約¥72万円の総投資額)仕込んで保持しておけば、この両年で配当額は、現金で3000元+4000元=7000元(¥112,000円)でした。
また、両年の無償株配当で株数は4千株となり、昨年末時点の株価(時価)は90元前後でしたから、時価総額は36万元(¥576万円)となっています。
含み益は、(現金7千元+時価36万元)-投資額4.5万元=32.2万元(約¥515.2万円)にもなります。

この会社は、世界のソニーやマイクロソフトと比べれば、まったく無名の企業ですが、短期間(2年余)での業績と投資家への配当金還元においては、前2社以上の投資パフォーマンスを示したといえるでしょう。
探せば、まだまだ中国本土の上場企業の中には、こうした企業が有りますし、今後も出現してくることでしょう。

しかし、上海A株は日本人には直接買えないではないか、という人もあるでしょう。
私だったら、今すぐ信頼に足る中国人の友人を作ります。
また、あてがなければ、実際の投資経験者を捜し、教えを請います。投資へのチャンスは探せばあるものです。

お金は、国境を易々と越えて、有利な投資対象に向かいます。人(=投資家)も、お金に見習えばよいのです。

お金自体には、国境や法律の規制は通用しませんが、人には遵法(順法)や国のルールに従わねばなりません。
ならば、合法で、且つ国同士のルールのスキマを探せばよいだけです。何も、やろうと思えば、難しいことではないのです。

同じ中国株でも、残念ながら香港市場には、こうした魅力有る中国企業は、ほんの一握り程度しかありません。
しかし、外国人投資家に規制のある中国本土市場には、まだまだ沢山こうした投資妙味の高い企業が存在しています。

これを我々はどう見るか、どう判断し、投資のポートフォリオに組み入れるかと言うこと、です。
もともとリスクの低い投資には高いリターンはありませんから。
2008/03/09

注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。 

2013/03/11