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中国名言と株式紀行(小林 章)
第57回 中国・天津にて/中国株日記 (27)
【NO.28】中国、天津にて(27)
中国出張を繰り返しており、日記の方が滞りがちですが、今後も継続して参りますので、宜しくお願い致します。
さて、前回の続きですが、中国本土市場は上海総合指数で、10月は一時6000ポイントの史上最高値を更新後、5000ポイントと6000ポイントの間を行き来する展開から、11月22日には5000ポイントを割り込み、最終的に4984.16ポイントで終え3ヶ月ぶりの安値水準まで指数は下落しました。
その後も、下落基調は止まらず、4600ポイント台までは進行しそうな勢いです。
その原因は、中国当局の景気引き締め策への懸念やら、米株価の下落、香港市場への直通列車実施の送れ、香港金融機関のサブプライム問題での損失が予想以上に懸念されている、などなど、理由が取り沙汰されています。
しかし、この所の本土株式市場の軟調は、前回でも指摘したとおり、急激な市場の拡大による需給不安が大きな原因です。市場は、まだ大型株の相次ぐ新規IPOによる過剰供給に需要側がついていけない状態での、市場のアンバランスからくる弱含みの展開となっているのです。
この状況に、取り沙汰される、政府高官の景気引き締め発言やサブプライム問題が市場心理を負の方向に引きずっているものと思われます。
昨年来、株価の上昇基調時での、度重なる金利政策の変更や投機に対する銀行の貸し出し抑制策、株取引税の引き上げ、更には政府高官の相次ぐ市場過熱に対する口先介入にもかかわらず、株価の上昇には何の効果も有りませんでした。
そこでやむなく証券当局が執った手段が、企業の旺盛な資金需要を背景とする新規上場をもくろむ大企業の審査基準を甘くして、株式市場の分母を急速に脹らませて、供給側を大きく増やし、分子の需要側を押さえに掛かった、という事態でした。
こうしたやり方は、自由市場では禁じ手に近いものと受け取られても仕方有りませんが、中国政府としては、これより他に市場の過熱を押さえる方法が見あたらなかったのでしょう。
こうまでして、景気の過熱や投資の行き過ぎを押さえざるを得ないのが、現状の中国経済なのです。
2007年の3季度(1月-9月決算)の上場企業の業績が10月末までに出揃いました。
上海市場に上場する855社全体の営業収入は43579億元(前年同期比43.7%増)、純利益総額は5123億元(前年同期比73.8%増)、1株収益は0.301元でした。
また、深圳市場の488社全体の営業総収入は11701.79億元(前年同期比27.63%増)、営業利益は991.72億元(前年同期比77.11%増)、純利益総額は710.11億元(前年同期比88.71%増)1株収益は0.2861元(前年同期比71.42%増)でした。
深圳の中小企業板(店頭市場)の176社全体は、営業収入8.45億元、純利益5834万元、1株収益0.34元でした。
中国本土市場全体の上場企業1519社の売上高総額は5兆6695億元(前年同期比25.29%増)で中国のGDP額の34.14%にあたります。
また、総純利益は5655億8700万元(前年同月比66.93%増)と前年の3781億1700万元を大きく上回りました。
1株利益(EPS)は0.2713元と前年同期比で49.14%の増加でした。
平均ROEは10.67%と前年同期比で11.32%増でした。
利益を計上した企業は1322社で全体の87.03%にも及び、損失計上企業は197社の12.97%でした。
こうした中国経済の好調さを実感できる数値を基に、更に来年の北京オリンピック以降の景気を予想して、市場の判断を下すべきでしょう。
現状を見て、変に悲観する必要はないでしょう。
私の天津滞在中に、何人かの親しい中国人の個人投資家が市場動向について、私に尋ねてきました。
私は、売り買いについては、持ち株の整理のために、あまり上昇率の良くない株を売って、業績見通しの好調な高値圏からやや売り込まれている銘柄の株を拾っていると、答えておきました。
何故なら、株価の下落局面では失望売りや狼狽売りもあって、高嶺の花の優良銘柄も売られすぎる傾向があるので、ここで拾っておくには絶好の機会だからです。
株の世界には「高い株ほどよく上がる」という現象があるからです。
中国人の投資家で、市場の軟調な局面で、逆の投資法を選択し、よく失敗してしまう例が往々にして見受けられます。それは、良く上がった銘柄の株から先に手放してしまって、気が付けば、利の薄い塩漬けに近いボロ株ばかりが手元に残ってしまった、という例です。将来上がって売ろうとボロ株を残してしまいがちですが、こうした例は最悪です。
中国経済の成長は、何も北京五輪と上海万博でお終まいになるわけではありません。
むしろ、これからが本番です。本番で大活躍する企業は、塩漬けボロ株の企業の中にはほぼ無い、と断言できるでしょう。
2007/11/30
[コメント]①
利益確定をして売買していると、気がついたら手元にボロ株が残るという現象は、株を始めた当初よくありました。
(日本株においては、最近もありますけど。)
中国株に関しては、比較的長期保有のスタンスで取引しているので優良銘柄を多く保有しているせいか今年はなかなかのパフォーマンスです。
特にサブプライムで急落した高嶺の花の優良銘柄を拾えたのがなによりでした。
その後、現在の下落中に確定をしようとも思いましたが、現在もサブプライム時の購入銘柄でもまだ4割以上の利益がでているので保有し続けています。
本当はナンピンしたいところですが、それほどの余剰資金がないもので今回の下落相場は見送っております。
(個人的には、できれば冬のボーナスがでるまで回復を待ってもらいたいところです。)
中国語の読めない私だと全く情報を収集できないので、そもそもボロ株といわれる銘柄について、余計な誘惑がなくていいのかもしれません。
注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。
また、記事にコメントやコメントに対する私からの返答が付属されているものもあります。
2013/02/19