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中国名言と株式紀行(小林 章)
第41回 中国・天津にて/中国株日記 (19)
【NO.20】中国、天津にて(19)
前回、天津市民の最新の投資傾向として「基金」=投資ファンドのことを取り上げましたら、さっそく「かいぶつくん」さんからの質問がありましたので、今回はその補足も兼ねて、書いてみたいと思います。
いくら中国人は理財に聡いと言っても、一般の市民(老百姓)レベルになると、情報が限られるためにマスコミや風説や口コミで、有効で、より有益な虎の子の資金の運用先を選ぶようです。
どちらかというと株の売買は銘柄の見極めや売り買いのタイミング等難しい面が多く、しかも10数年前の制度の不備による賭博場化していた頃の株式市場の荒んだ場面の記憶もあり、この所の株価の連騰騒ぎを聞いても、なかなか初心者には寄りつき難いもののようです。素人が手を染めても、なかなか儲からないと思う人も、正直多いのです。
投資ファンドは、中国に限らず、どこの国でも、要はあまり投資に自らの頭を使わないで、勉強代も節約したいという人たちの要望に添った金融商品で、但し手持ちの資金はなるべく増やしたいという極めてずぼらな人向けの商品です。
中国では、定期預金の変種の金融商品だ、くらいにしか理解せずに、解約手続きの簡便さも手伝って、高利息・高リターンを期待して、軽く購入契約する人も多いようです。
こうして、株や債券で運用される「基金」=投資ファンドは、比較的手堅い銀行や証券窓口で販売されて手軽さが受けて、金融の専門家が運用しており、比較的日々の運用成績まで窓口に張り出されて見えるので、その運用成績の良いものから選べば、高配当が得られるということで、人気なのです。
しかも、このところの株価の急騰により、運用成績の良いファンドが目白押しです。今年に入って7月末で元本に対する利息を50%増やした「基金」も沢山あり、庶民には一層話題になっています。
好運用の「基金」は、この2年間で元本+利息で約2倍になったそうです。
この「基金」は、何故庶民向きかというと、1万元(約16万円)程度か、それ以下の少額から始められて、保証金等は不要で、元本保証ではありませんが、日々運用成績と利息が公表されるために利息計算でき、もしもの時でも解約は比較的融通性が高く、解約手続き後3日間で元本とその利息が手元に還って来るというのです。
現在、投資信託会社は、銀行系や証券系信託系独立系など59社があり、347本の「基金」=投資ファンドを運用しています。現在、本土の資本市場で最大の機関投資家は、実はこの投資信託会社です。A株市場の流通時価総額の約31%を占めるに至っています。
また、投資信託口座の1日あたりの新規開設数も、この所の人気で中国全土で約30万6千件とA株口座の開設数を大きく上回っています。
先日、天津の我が工場でも、目前の運転資金の充足の件で、少額(1万元)の不足を、当社の奇特な幹部社員が自己の資金で穴埋めしてくれました。借りた3日後には、お礼(利息)を付けて、お返し致しましたが、彼女は、自らの虎の子の数万元を基金で運用しており、それをわざわざ取り崩して工場のために用立ててくれました(感謝)。
その彼女に返却された虎の子の1万元は、数社の基金の勧誘を受けた後、熟慮の末に、彼女の手から某基金に再投資されました。めでたし、めでたし。
2007/09/07
[コメント]①
中国で一般庶民に株が人気という記事ばかりで投資信託口座の開設がそんなにすごいという情報を聞いたことはありませんでした。
日本でもここのところ投資信託が人気ですし、手数料を払う代わりに勉強している人に任せるから運用してくださいというほうがいいこともありますからね。
1万元(約16万円)程度が中国国内水準でいうとどれくらいなのかピンきませんが、文面を読む限りちょっと貯金ができるくらいの家計だと投資しやすいくらいの金額なんでしょうね。
それにしても、投資信託がそんなに人気になってくると結局A株市場も個人投資家ではなくて機関投資家が幅を利かせる構図になりあまりかわらないんですね。
注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。
また、記事にコメントやコメントに対する私からの返答が付属されているものもあります。
2013/01/18