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中国名言と株式紀行(小林 章)
第39回 中国・天津にて/中国株日記 (18)
【NO.19】中国、天津にて(18)
中国、天津日記は、ここの所、休みがちですが、中国出張が続いており、なかなか時間がありません。
とりあえず、近況報告も兼ねて、思いつくことを書いてみたいとおもいます。
天津も先週の雨で、すっかり秋モード突入です。Tシャツでは寒いと感じる時があるぐらいでした。
8月26日は旧暦の7月15日にあたり「鬼節(くいじぇ)」といって、亡くなった先祖へ、天国での生活困らないように、印刷されたわら半紙のお金(勿論偽物です)を燃やして、あの世に届ける日です。
我が家でも家内が「1千万元」と書かれた高価なお札や紙銭を大量に戸外で燃やしました。
この紙銭の燃え方によって、例えば風に強く煽られるような燃え方だと、天国の祖先が、かなり困っていて早く早くとお金を送るのを急がしている、のだそうです。
中国では、あの世に行っても、お金次第なのですね。お金とは中華民族には、切っても切れない関係ですね。
お金も送れない家庭では、すなわち先祖の供養も出来ず、家族の廃れた家系では、あの世で祖先も勢力を亡くしてしまい、現実の残された家系もいつか廃れると信じられています。
ですから、どこの家も競い合うように、紙銭を露店で購入し、道端で真っ黒な灰になるまで、綺麗に燃やして、先祖供養と家系の絶えないことを願って「鬼節(くいちぇ)」の伝統を大事にしているのです。
中国では、8月20日に政府が、中国人個人投資家による香港上場証券への直接投資、即ち個人の香港株への直接投資が、天津市濱海新区をテスト地区として認める、という発表がされました。中国本土人が、自己の保有する外貨で、初めて海外への直接の投資を認めるケースです。しかも最初は香港証券市場です。
当然、本土の外貨は、まず本土市場のA株と香港同時上場のH株の価格差を狙って投資がなされるだろうと、言われています。優良上場企業でも、H株とA株同時上場銘柄では、H株の方が明らかに割安です。いわば、同一権利の株に、1物2価の状態が発生しているわけです。中国株の世界では、過去に何度も、こうした矛盾が絶好の儲けの機会を現出してきました。株価は高い方の株価にサヤ寄せする結果になりました。
今回は、香港市場を舞台にドラマが発生する気配濃厚です。秋以降の香港市場の中国株に注目ですね。
また、今週は本土A株価の値動きを示す、上海総合指数が、史上最高値の5000ポイントをついに超えて、一時5200ポイントを付けました。半期の業績好調と3季度の決算発表が始まり、概ね好調な企業業績の発表がなされており、投資家の安心感を誘っています。また、5年に一度開催される全人代が10月15日より開催されることが発表され、政治のビッグイベントの時期に株価は下げたことがないというジンクスも手伝って、上昇相場は健在です。
さらに、この所の人民元高がじわじわと進行しています。8月28日には人民元は米ドルに対して一時、1ドル=7.5534元まで上昇し、2005年7月の2.1%の切り上げ以来6%強の最高値を記録しています。合計すると、05年7月時点より8%強も米ドルに対して人民元が切り上がったことになります。
また、人民銀行(中央銀行)は、8月21日に預金と貸し出しの基準金利を翌22日付で0.27%と0.18%切り上げると発表しています。その結果、1年物の定期預金金利は3.6%に引き上げられています。
少し主な経済の話題を取り上げてだけでも、実に中国を取り巻く経済環境は、めまぐるしい、と言うべきです。
天津の街角では、銀行と証券窓口に並ぶ「老百姓(ろーばいしん)」=一般市民の姿が印象的でした。いずれも、高金利高配当を謳う「基金」=投資ファンドに群がる人たちでした。一般市民は中国経済の好調さを享受するために、手持ち資金を「基金」で運用する機運が強いのです。
勿論、高金利高配当を謳う「基金」の運用先は、中国国内A株市場が大きなウエイトを占めています。「基金」の運用者は、銀行や素材、インフラ関係に手堅く投資すると共に、好業績で伸び盛りの上場企業に目を付けて運用しているようです。この所の上昇の顕著な企業の株価は、こうした資金が支えているようですね。
2007/08/30
[コメント]①
お久しぶりです。
日記の更新楽しみにしておりました。
8月20日に、中国人個人による香港上場証券への直接投資開放というニュースは初耳でした。
確かに香港市場を舞台にドラマが発生する気配ありますね。
銘柄の見直しをしたほうがいいかもしれません。
といっても、つい先日入れ替えたばかりなのですが。
中国でもファンドによる投資が主流なんでしょうか?
日本の個人投資家のはやりはどうも投信かFXのようですが。
注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。
また、記事にコメントやコメントに対する私からの返答が付属されているものもあります。
2013/01/14