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中国名言と株式紀行(小林 章)
第20回 中国・天津にて/中国株日記 (9)
【NO.10】中国、天津にて(9)
日本から中国に出張し、天津に入ると、先ずやることは、手持ちの日本円を人民元にチェンジ(交換)することです。
私は通常、人民元で1万元程度は常に財布に携帯していますが、企業の経営もしている関係で、税関で認められている100万円以下の日本円も中国に持ち込むことが多いのです。
ただし、日本円そのままでは、中国国内では使用することが基本的に出来ませんので、必要に応じて日本円を人民元に交換して、使用しています。
こうした時に、中国でのパートナーとして、個人営業の両替商と付き合っています。日本円から人民元へ、逆に人民元から日本円へ、という通貨の両替は1度に1千万円程度までは、彼との信頼関係で、いつでもOKです。金銭の貸し借りも、一部信用で取引する間柄にもなっています。
私も、かつては、通貨の両替は中国内の銀行、例えば中国銀行や工商銀行、農業銀行などで実行していました。
しかし5、6年前から、住居の近くの会社の口座を置いてある中国銀行のロビーで見かける男性、彼は聞けば銀行関係者でもないのに、いつも銀行の窓口付近におり、来店する顧客への銀行業務について相談に乗り、アドバイスを与え、銀行員にも信頼を寄せられており、どういう人物なのか興味がありました。
いつしか、気楽に声を掛け合う、顔見知りになりましたが、彼の正体は依然謎のままでした。
そして、少し急な資金の両替の需要があり、銀行窓口で行員との押し問答のような状態になった時に、脇から彼が割って入ってきて、行員を取りなし、私に話しかけてきたのでした。私は、銀行関係者でもなさそうな彼に、多少胡散臭さも感じて、無視しようとしました。
彼は、私を落ち着かせてから、ゆっくり話し出しました。
私が、あなたを信用して、その必要なお金を先ず用意してくれる、というのです。私も、窓口で時間をかけて待つよりも、彼の申し出を拒む理由はありませんでした。
彼は、まず自分の預金通帳から、私の必要な人民元の金額を私のために引き下ろして渡し、代わりの私の日本円を受け取りました。
この時の交換レートは、銀行での交換レートより、5%程度有利な条件でした。
こうして彼との個人的な、関係が始まり、現在彼は私の通貨や投資に関するパートナーとなっています。
時間があれば、ゆっくりサウナに入り食事をしながら、時間が無ければ、いつもの銀行のロビーで立ち話で、色々なお金や株に関する情報交換を欠かしません。
彼は、一部私の株投資にも協力してくれていますし、中国事情に長けた良きアドバイザーです。
中国人と信頼関係を築く、この事は中国内で事業を行う上で、大変重要な事柄の1つです。
それにしても、このところの人民元の対ドルに対する上昇率はじりじりと急角度で伸びており、7月10日の中国人民銀行(中央銀行)の発表した人民元の基準値は1米ドル=7.5845元で、2005年7月の切り上げ以降、人民元の上昇率は6.4797%に達しています。
これは、05年7月の2.1%の切り上げを加算すると、ここ2年間で、実に8.6%弱、米ドルに対して人民元が切り上がった事になります。
人民元を所有しているだけで、対ドルや円に対して、これからも確実に切り上がっていきます。
また、中国国内の銀行の預金利息も、今年になり2回も上昇しています。金利の上昇は今後のトレンドです。
更に利子課税(現在利息に対して20%課税)の減免も現実になろうとしています。人民元で預金しているだけで、利息も1年定期で3%を超えています。
人民元の価値の上昇と預金利息の上昇、利子課税の減免と3重の相乗効果で、人民元は預金として持っているだけでも報いられるチャンスが大きいのです。
更に、その人民元で中国株式に投資し、株価の上昇と配当を享受出来れば、そのキャピタルゲインやインカムゲインでの投資パフォーマンスは計り知れない効果となって帰ってくることは確実なのです。
こうした、効果を期待できるマーケットが、我々の隣国に現出しつつあります。
2007/07/10
[コメント]①
そんな信頼関係を築くことができるとは頼もしいですね。
人民元はジリジリといいながらも実はかなりの伸びですよね。
わたしも人民元でほんとうは中国株式買いたいんですけど、日本にいるとその手段もなく、歯がゆく思っております。
[コメントへの返答]
本当は、これからの中国の進行方向は、日本人には、この道はいつか来た道、であるのです。何しろ、日本人自体がかつて経験してきた道でもあるのですから。
そう言った意味では、同じ道であるなら、日本人の方がよっぽど、目利きであっていいはずなのです。
ご指摘の通り、お隣の中国にこそ、日本人の活躍の場があると言ってもいい状況です。
あなたの歯がゆさは、当然の感情ですね。問題は、その壁を乗り越えてチャンスを掴めるかどうかなのだと思います。
中国人自体は、この中国の社会の変化や経済の発展を経験する、初めての機会ですので、日本人から見て、ちぐはぐな対応が目立ちます。何しろ彼らは、若葉マークのドライバーなのです。次に何が起こるのかを予測するのさえ、困難な状況です。
ですから、あなたにもチャンスがあるのです。
注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。
また、記事にコメントやコメントに対する私からの返答が付属されているものもあります。
2012/12/09