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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第92回 心がこもってこそ

マナーや心遣いについて
知識や情報を得ることは
まず大切なことだと思います。

でも、それで十分なわけではないのですよ。
知識や情報を得たところで
やっとスタートラインなのだと思います。

例えば
タクシーに乗るとき運転席の後ろが上座だけれど
脚の弱い年配の方と一緒だったら
奥ににじっていくのが負担かもしれないから
「私が先に入りましょうか?」と
声をかけたほうがいいかもしれない。

マナー本に載っていたことを守るよりも
目の前の人・目の前の状況をみて
何が必要なのか何が望まれているのか
何が喜ばれるのか自分は何ができるのか
考えて行動することが
一番重要なことだろうと思います。

「『ごちそうさまは3度言おう』と
書いてあったから3度いえばいいのね。」
「『遅れてすみませんは2度謝ろう』うん、
オレ2度謝ったから大丈夫」
こういう勘違いはしたくないですね。
(マナー本に書いてあったとおりにやったから
問題ないだろう、文句ないだろう……?)

マナーだから守る、というのではなくて
本当にありがとうと思ったり、
本当に悪いなと思ったり、
心から感じることがあったときに、
自然とそういう行為になってしまう、、、
というのが積み重なってマナーという形に
まとまっていったのだと思います。
だから、心がこもっていない、
形だけなぞったものはマナーとは言いません。
知識をひけらかす嫌なヤツです。

そして、それと同時に。
何らかの事情でいわゆるマナーというものに
そぐわない言動をしている輩たちのことも
けっしてバカにしてみたり、
悪くいったりしないで、温かく見守って。

必要があれば、そして可能であれば
(いいタイミングで、相手に伝わる言い方で)
アドバイスしてあげたら
お互いのためになるかもしれない。

でも、人って自然に次第に学ぶから
ゆっくり見守っていけば十分だと思います。
私たちも見守ってもらっているのと同じように。

2005/11/23