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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)
第89回 不動産の呪縛2
気になっていることがあったのです。
震災やら戦災やらくぐりぬけて
父祖が維持してきた不動産が都心にあり。
祖父の代から父の代へ
相続やら税金やら苦心惨憺してきたのを
見て育ってきました。
今すぐの問題ではないけれど、
あと数十年(ずっと先であってほしい)
父の代からその下へ
引き継げるのだろうか、心配を抱えています。
土地の維持≒家業の維持の問題でもあります。
ちょうど似たような問題を
理解してくれる戸田ゼミ仲間と
話していたらすっと気持ちが軽くなる
アドバイスをいただけました。
「お祖父さんやそのまたお祖父さんや、、、
その土地を守ってきて、
家業を継いできた人たちは、けっして
子孫をその土地や家業に縛り付けるつもりで
やってきたんじゃないと思うんだ。
彼らは彼らで『この仕事がやりたい』と
思ったから、営んできたことだろうと思うよ。
だから、ご先祖様たちは、キミ(たち兄弟)が
『この仕事がやりたい』とおもったことを
生き生きとやりがいを持って
やっていたら満足して喜んでくれると思うよ。
『イヤだけど、家業だから』
『仕方ないけど、継がなきゃいけないから』
という思いで、やりたいことができない状況は
けっしてご先祖様を喜ばせないと思うよ。」
だから、土地や家業が親族のものに
受け継がれていけばそれはそれでいいけれども
それが難しい状況になったとき
無理したり、苦にしたり、
する必要はないんだよ、
というアドバイスでした。
それまでは「土地や家業を手放したら、
せっかく今まで守ってきたご先祖様に
顔向けができない、申し訳がない」
という気持ちがどうしても
払拭できなかったのです。
きっと、この言葉を発したご本人も
似たような問題で自問自答を繰り返した
時間の積み重ねの中で、見出した答えの
ひとつなのだろうと思います。
きっと具体的に心配するのは
もっとずっとずっと先のことですが、
「何が何でも維持するのが正しいのだ」
というところから出発するのではなくて
「維持できたら維持すれば、良いし、
維持しないなら維持しないで、
自分を発揮する生き方を選択をすれば
ご先祖様も喜んでくれる」
ということろから思考を出発することが
できるというのは、
すこし気持ちが楽になりました。
2005/11/20