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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)
第176回 わざわざ
「わざわざ持って来てくれたの?ありがとう!」
わざわざ、という言葉にも
わたしはネガティブな発想を持っていませんでした。
むしろ、
『普通だったらやりにくい
手間のかかるor労力のかかることなのに、
思いやり豊かなあなただから
わざわざやってくれたのね。
なんてありがたいことなの。』
という感謝の気持ちがこもっているととらえ、
「わざわざ来てくれたの?ありがとう」
「わざわざ取っておいてくれたの?うれしいわ」
「わざわざ書いてくれたの?ありがとう」
うれしい、ありがとう、という気持ちを
表現できるいい言葉だと思っていました。
でも、あるとき、違うとらえ方をする人が
少なからずいるということを知って
びっくりすると同時に
それならば、使うときに私も
気をつけなければいけないな、
違うとらえ方をされないような表現が
ほかにあれば、そちらを使ったほうがいいな、
と「わざわざ」表現を用心するようになりました。
ちがうとららえ方、というのは
およそ以下のような考え方です。
『普通の神経だったらやらないようなことを
わざわざやってくれちゃうあなたは
おせっかいなのね。そんな事しなくてもいいのに。
しなくてもいいことしてくれちゃって、
まぁ、一応ありがとうは言うけどね。』
のニュアンスをこめて「わざわざ」なのだそうです。
「(明日でもいい様なものをこんな夜遅くに)
わざわざ届けてくれて。ありがとう」
「(本当は二人っきりでデートしたかったけど
飛び入り参加した友人に)
今日はわざわざ来てくれてありがとう」
「(電話でいえば済むことなのに)
わざわざお手紙ありがとう。
(ちょっと重たいのよね)」
という具合だそうです。
まぁ、それはちょっと、
聞いたら怖くなっちゃうような
裏のある言い方ですね。
知らなかったほうが幸せだったかな?
でも、こういう「わざわざ」の使われ方も
あると知って言葉の使い方の難しさを
また感じました。
独りよがり、自分の思い込みだけでは
知らぬ間に相手に不快な気持ちにさせているかも。
そうです、誤解を招くおそれのある表現を
『わざわざ』使う必要も無いですからね。
2006/02/15