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夫は日本、私は上海(伊勢利子)

第48回 日本に取り残される夫?

食べ物は合うかしらん?
病気になったらどうしよう?
中国語がひとことも話せない?

そんな不安は、そのころの私には
まったく眼中にありませんでした。

では、いちばんの気がかりとは・・・
「主婦が家をあける」ということです。

いったいそれがどういうことになるのか?
つまり、突然、一人で日本に取り残される
夫はいったいどうなるの?

このことがいちばん心配!!
もう、出発までそのことで頭の中はいっぱい。

ごみの分別はできるかしらん?
ごはんはどうする?食器洗いは?
洗濯は?町内会の用事は?

「やっぱり、留学はやめよう!」
「夫、一人では絶対にできないわぁ~」
と、何度、思ったことかわかりません。

夫の方こそ、どんなにか不安だったでしょうね。。。
でも、そんなことは、一度も口にしませんでした。

上海に移住する準備には、時間がかかりました。
仕事やボランティア活動、お茶のお稽古、英語のレッスンなど、
何十年と続けてきた、たくさんの活動をすべて中止!
妻も嫁も母親も娘も・・・しばらく休業。

周囲の人たちからは、「旦那さんがかわいそう~」とか、
「留学を決めた奥さんよりも、それを許した旦那が偉い!」
なんて、さんざんいわれながら。。。

いちばんの被害をこうむる夫の反応はというと?
いやみ一ついわず、黙って許してくれ、
誰に愚痴をこぼすわけでもなく、
じっと耐え、私を見守っていてくれました。

「奥さんに勝手なことばかりさせて・・・」
「旦那ならそんなこと止めさせなさいね!」

な~んて、いわれていたそうですから。。。
きっと愚痴なんていえなかったのでしょう。

男の人って、あまり自分の気持ちを
素直にいわない人が多いから。。。

「男は黙ってサッポロビール!」なんて、
コマーシャルもありましたっけ?
まさに、そんな心境だったかもね。

2007/07/30