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愛と情熱のファイナンシャル・プランニング(伊佐笑子)

第8回 年収1000万円の魔力

普通のサラリーマンなら「年収1000万円です」
と答えられれば、おそらく「勝ち組」意識を
持たずにいられないでしょう。
しかし、この「勝ち組意識」が
実はやっかいなシロモノなのであります。

1000万円を超えた途端に
全ての持ち物をランクアップしようとしてしまう。
1000万にもなったんだから・・・と
カローラはレクサスに替わり、
ブルックスブラザーズはドルチェ&ガッバーナに替わり、
ホームセンターで間に合わせていた家具も
急に北欧家具に興味が沸いてきたり。
挙句の果てには、ちょい悪なんて貧乏くさい、
Newリッチーノは白シャツに短パン、なんて
妙に雑誌に振り回されたりして・・・。

その結果、なんだか使ったような気もしないのに
お金がどんどん減っていく。
おかしいな、1000万にもなったのに、
貯金が増えるどころか減ってるよ・・・。
妙な勝ち組意識が招く意外な貧乏物語。
そして一度ランクアップした生活は
元にはなかなか戻せません。

老後を考えれば、この「使い癖」は悲劇です。
FPなら、すぐに無駄な出費を抑え、
できるだけ投資や貯蓄にも気を回すように
アドバイスします。
しかし、消費活動は日本経済を活性化させます。
こういう人がいないと、ますますお金を落とす人が
いなくなってしまい、経済が萎縮してしまいます。

「よし、オレが経済を回すぞ」と
思いながら消費している人はいないので、
本人は自分がどれだけ社会で役に立っているかを
自覚していません。

なので、私はこういう人に、声を小にして褒め称えたい。

「スバラシイ!あなたは日本のため、社会のために
多大なる貢献をしています。これからもどんどん消費して、
その、底なし沼の自己満足をかなえてください」

褒められたくない方は、どうぞお早めにFPにご相談を。

2007/08/09