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華南で働く(大道寺健)
第19回 中国人は行き当たりばったり?
中国人の行動は行き当たりばったりでしょうか。
行き当たりばったりの意味は、長期的計画に基づいて、
今、何をすべきか考えて行動できない。将来予想される
不安や危険な芽を事前に察知し、今のうちから準備して
行動することが出来ないと言うことです。
この点に関しては、私はその通りだと思います。
以前の会社で、私は中国に現地法人を設立する際、
その手続のお手伝いをしていました。現地法人の設立と言うのは、
かなり面倒なもので手続書類等の準備で2,3ヶ月、
手続を開始してから実際に法人が設立するまで
3ヶ月程度かかり、合計で半年程度かかります。
そしてこの手続を行う際、日本側から求められるのが
いつまでにこの手続が終わり、いつまでに手続が完了するのか
と言う計画表の提出です。
この計画表どおりに事が進むのは、正直あまりありません。
中国当局の審査が遅れる、中国当局から予定していない資料の
提出を求められる、日本サイドに要求した資料が稟議や決済で
時間がかかり予定がずれ込む等々、理由は色々ありますが
遅れるのが通常です。
こんな事ですから、中国人スタッフは計画なんて作るだけ
無駄なのにとまで言ったりします。そもそも計画立てて
行動するという概念がないのかもしれません。
実際、中国人スタッフの動きを見ていると、予定外の問題が
起きても「メイバンファー(仕方がない)」と言うだけですし、
予定外の出来事で計画から遅れても、その遅れを
取り戻そうと言う動きもありませんでした。
問題が起きそうだと気付いていても、放置し、
問題が起きてから対処すると言うような感じでした。
このように中国人は計画立てて行動するのが不得手ですが、
では、なぜ行き当たりばったりの行動になるのでしょうか?
狩猟民族と農耕民族の違いだという意見も聞いたことがありますが、
私が以前お会いした人で、その方が言われていたのが
「気候による違い」
ではないかと言うことです。
日本の気候は、春夏秋冬がはっきりとしており、花が咲き乱れる
春の後には、梅雨になり、梅雨が終われば、ぎらぎらと太陽に
照らされる夏を迎え、徐々に気温が下がり実りの秋を迎えて、
寒い冬へ移ろい、そして気温の緩やかな上昇と共に春がやってきます。
おしなべて日本の気温変化は緩やかであり、四季がはっきりしています。
一方、中国は、ユーラシア大陸にあるせいか、気温の変化が
激しいです。1日で5度位の温度変化は日常茶飯事、
10度位温度が変化することもありますので、昨日までコートを
着ていたのに、今日は半袖で歩いていると言うようなこともあります。
中国も春夏秋冬はありますが、日本のようにゆっくりと
変化していくのではなく、いきなりスイッチを切り替えるように
季節が変化していくような感じです。
このように中国は、温度変化が激しく、且つ突然変化するので、
いくら事前に計画を立てても無駄だから、計画を立てても意味はなく
行き当たりばったりの行動を取るようになったのではないか
という考えです。私もこの考え方に賛同しています。気候というものは、
そこに住む人たちの、考え方、行動、文化に大きな影響を
与えるのではないでしょうか。
行き当たりばったりの行動、計画立てての行動、いずれも
一長一短あると思います。一番よいのは、計画立てて行動し、
想定外の問題が起きた時も臨機応変に対応すると言うのが
一番良い行動だと思いますが、「言うは易し、行うは難し」です。
2006/02/24