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夢の上海(チャイひめ)
第47回 邱永漢先生の著書、頂きました。
戸田先生から邱先生の著書『日僑の時代』と『東洋の思想家たち』
をいただきました。ありがとうございました。
世界のあちこちに住んで働く中国人を華僑と呼ぶのと同じように、
日僑というのは、外国に住む日本人のことです。
『日僑の時代』は、日僑の生き方について書いてありますので、
私のような人が読むのにまさにぴったりの本です。
華僑が外国のその土地に根を下ろして生活するのに対し、
日僑は駐在であったり、骨休めであったり、留学であったり、
「仮の住まい」として外国で生活している場合がほとんどだそうです。
大陸と海で隔てられた島国で、島の中で全てが事足りること、
中国などと違って「弱い国家」ではないので、外に出る必要がないこと等
様々な要因が重なって、外へ出て行く日本人は少ないと書かれていました。
その土地にずっと住むか、一時的に住むかでは、
気構えがうんと違いますから、華僑と日僑の性格は全然違っています。
その土地になじもうとしない、なじむ必要のない日僑は、
土地の人に受け入れてもらえない、異質な存在になってしまいます。
私の場合は変わっていて、
骨をうずめる覚悟で中国に来ている珍しい日僑なのですが、
日僑の会社での勤め方、言葉の習得について、
脱サラして起業すること、果ては子どもの教育方法まで書かれた
この『日僑の時代』は参考になることがとても多かったです。
『東洋の思想家たち』は、孔子、荘子、韓非子について書かれた本です。
なんとパラフィン紙で包まれた、懐かしく良い意味で古めかしい装丁で、
昭和33年に発行された、おそらく大変貴重な初版本を頂きました。
このような装丁の本は、きちんと背筋を伸ばして読まなくてはいけない
気がして、机に座って、ゆっくりと丁寧に読ませて頂きました。
それぞれの古典から、様々なエピソードを邱先生の解釈を盛り込んで
三人の思想家が、紹介されています。
邱先生曰く、孔子は「文学青年」、荘子は「ロマンチシストの元祖」、
韓非子は「理路整然、ドイツ人のような精神の持ち主」だそうです。
読む前から楽しみにしていた荘子の章が、私はやはり面白く感じました。
荘子は思想家というよりも宗教家に近い、
地球規模の広大な考えの中にロマンを兼ね備えた思想家と紹介されていました。
私はその中に、邱先生の荘子への憧れをほのかに感じました。
現在は世の経済や事業やお金など、超現実的な世界の中にいる邱先生ですから、
正直意外に感じましたが、同時に親近感も感じました。
夢やロマンを持っている人、それに憧れている人は素敵じゃないですか。
大変面白い本を二冊、それも貴重な初版本をいただき、
戸田先生には大変感謝しています。
ありがとうございました。
外国人がたくさんいる上海では、レストランも多国籍。写真はメキシカンバーのZAPATA's。このコーナーでも度々登場している衡山路にあるお店です。時々、屋外でタコスを売っていますが、すごくおいしいです。
2006/12/25