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夢の上海(チャイひめ)

第41回 医療に対する不安

11月17日付けのハイQの柳田さんのコラム
「第637回北京で病気になったらどうするか」では、
中国での医療に対する不安について綴られていました。

そうなんです、外国で暮らすには様々なリスクがあるのですが、
医療の問題は、外国人にとって大変不安な問題の一つです。

私を含め日本人の多くが、中国の病院にはなるべく行きたくないと思っているでしょう。
中国病院は、医療費は安いが衛生状態が悪く、病気をもらいに病院に行くようなもの。
日系や外資系の病院は、衛生状態は良いが、高い医療費と設備の少なさが不安。

ちなみに、ちょっとした風邪で病院にかかった場合、
中国ローカル病院は、治療費は無料(国営の場合。検査費や薬代は別途必要)から30元くらい。
外資系の病院では、軽く1000元(日本円で15,000円くらい!驚!)以上取られてしまいます。

病院には行きたくない!
ので、自分で病気や事故のないよう、万全の対策を取るしかありません。
中国に来てから、手洗いうがいを欠かさなくなりましたし、食べるものには気をつけ、
天候の変化にも気をつけて、衣服で体温の調整をしっかりするようになりました。

それでも、柳田さんも書いていたように、風邪くらいで病院に行くのはいいんです。
問題は大きな病気にかかったとき。すごく不安です。

先日、ある取引先の日本人の事業部長が中国で心臓の手術を受けました。
その方が入院してまもなくのとき、用事があって携帯電話に電話をかけました。
仕事の話をしましたが、どうもその人の様子がおかしいのです。

すると、
「実は今○○病院というところに入院をしていて、来週手術をすることになったんです。
生還できるかどうか分からない・・・」
なんてことを言うのです。

つい最近その人に会ったばかりで、お元気そうだったこともあるし、
何の冗談かと思って、面食らっていたのですが、
あとでその会社の別の人から、心臓手術を受けるのだと聞いてびっくりしました。

外国でしかも心臓の手術を受けなくてはいけないその人の気持ちを考え、
さぞかし不安でつらい気持ちだろうと思うと、私は気付けば涙が出ていました。

急に手術が必要になったので、日本へ帰ることができなかったそうです。
家族と離れた外国で、無菌室に一人入院して、手術して・・・。
なんとか手術は無事成功し、しばらく中国の病院にとどまった後、日本に帰国されました。

3ヶ月の休養を取ったあと、すぐに中国に戻ってきて仕事に復帰されました。
先日、手術後初めてお会いしたのですが、お会いしてまたびっくりです。

恰幅のいい方だったのに、非常にやせて(おそらく20kgくらい)いて、
手術の大きさと、体の状態があまりよくないことは、一目瞭然でした。
その体で、中国で働くことも、その人には大変不安があると思います。

中国で急な病気や怪我の場合、非常に大変です。
もちろん中国にも救急車はあるのですが、体制があまり整っていないため、
来るのが非常に遅く、自分でタクシーなどで病院へ行ったほうが早いうえに、
救急車を呼べば、高額なお金が請求されることになります。

アメリカなどでもそうですが、中国でも、医療保険というのはあってないようなもの。
医療保険に入っている人というのは、非常に少ないのです。
負担が上がったとはいえ、医療費のたった3割を自己負担すればいい日本とは違って、
医療費は個人が全額負担しなくてはいけません。

そのせいで、病院はそのときお金を持っている人しか治療をしてくれません。
どれだけ痛みに苦しんでいて、いますぐの応急処置が必要な場合でも、です。

人の命とお金とどっちが大事なのか、という問題もあるのですが、
病院はボランティアではないので、治療費を払って貰わないと困るわけです。
医療保険に入っている人が少ないということは、
病院にとっては、医療費を払って貰えないリスクが高いということです。

これもある取引先の工場での話ですが、
技術指導をしていた日本人が、誤って指を深く切ってしまいました。
あわや切断か、というくらいの傷の深さで、早急な処置が必要でした。

そのような大きな処置には、あきらかに高額のお金が必要ですが、
そのお金がないと、決して病院は治療してくれません。
会社に置いてあった現金に加え、
日本人駐在員の仲間数十名が所持金のありったけをカンパし、
数万元の現金を持って病院に走ったそうです。
おかげで、早急に適切な処置ができ、事なきを得たそうです。

このようにいろいろな面から見て、医療に対するリスクが高い中国です。
我々外国人は、日頃から自分の健康にしっかりと気をつけていないといけません。


チャイひめALBUMより〜スタバのタンブラー〜

チャイひめALBUMより〜スタバのタンブラー〜

寒い冬には保温性にすぐれたタンブラーが大活躍。スターバックスは世界中の国や都市で、地域限定デザインのタンブラーを販売していますが、写真は左から蘇州、上海、杭州の地域限定のもの。蘇州は世界遺産の古代庭園のイメージ、上海は中国らしい深紅の背景に上海バンドの建物と鳥が印象的なもの、杭州は西湖の湖面に中国らしい傘が浮かんでいるイラストです。お土産にもいいかもしれません(一つ80元)。上海では最近新しいデザインのタンブラーも販売されているようです。

2006/11/19