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夢の上海(チャイひめ)

第38回 八千年の春 悠久の世界観を持つ荘子

DVDで88年の大河ドラマ『武田信玄』を見ているチャイひめです。

昨日もドラマを見ていたところ、気になる言葉が出てきました。

50歳を迎えた信玄は、病に冒されはじめ、眠れぬ夜が続いていました。
その夜も、咳がとまらなくなった信玄は、
寝室前の廊下に控える若侍に、せんじ薬を頼もうとしましたが、
夜もふけ、寝ずの番をしているはずの若侍はカクカク船を漕いでいました。

その侍は学問好きの侍だったので、そばには本が置いてありました。
信玄がふと手にしたところ、その本は『荘子』でした。
頁をめくる信玄ですが、ある言葉が信玄の心をとらえました。

月を見上げて、感慨深い様子でつぶやきます。
「八千年の春、八千年の秋・・・」

意味が全く分からなかった私は、さっそくグーグルで検索してみました。
情報に乏しい海外生活では、インターネットが欠かせない情報源です。

信玄が読んだのは、「荘子 内篇・逍遥遊」中の以下の言葉です。

上古大椿なるもの有り、八千歳を以て春と為し、八千歳を以て秋と為す。

上古の伝説上の植物、大椿(だいちん)という植物は、
八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年に相当する、と。

非常に長生きをする植物ですね。
後世、この一節から「椿寿」という言葉が生まれ、
人が長生きすること、長寿であること、の意となったとか。

椿は冬になっても落葉しない常緑樹。
生命力あふれる常緑樹に、古来より特別な意味を感じてきたのは
日本人も中国人も同じであったということでしょうか。
ちなみに神社にお供えする榊(さかき)はツバキ科の植物です。

さて、信玄に話しを戻すと、
その頃の信玄は、いがみあっていた長男を自害に追い込ませてしまい、
正室も亡くしたばかりの上に、自らも病の身で儚さを感じていたんですね。

そこへ、悠久の世界観を持つ荘子の言葉に触れて
感慨深いものがあった、ということだと思います。

生活を厳しく律する儒教(孔子の教え)とは違って、
道(タオ)を追求した荘子は、偉大なる空想家であり、
神秘主義の持ち主であり、その教えはおおらかな安らぎを与えるものだとか。

孔子、孟子、荀子、老荘思想など、
中国には優れた古典がたくさんありますが、
私は勉強不足で、あまり知らないのです。

せっかく中国に住んでいることでもあるし、
古典に触れて、古典からも中国を感じられたらいいなと思います。


チャイひめALBUMより〜鍋の季節〜

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だんだん寒くなってきました。これからは鍋がおいしい季節!辛い火鍋を食べると体があったまります。

2006/10/30