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夢の上海(チャイひめ)
第37回 ケンタッキーがやって来た!
私は普段、上海市内ではなく郊外のA市で生活をしています。
上海人から見れば「田舎」で、取るに足らないような小さな町です。
どれだけ田舎かというと、列車の駅もないし、
スターバックスなんてあるはずもなく、ケンタッキーもマクドナルドもなく、
なんとコンビニの一つもない。
日本ではちょっと歩いただけで何件もコンビニがあるのが当たり前で、
非常にコンビニが身近な存在ですね。
中国にコンビニが少ないかというとそうでもなくて、
上海や大きな都市ではたくさんあって、
ビジネス街などには欠かせない存在で、お昼時には特に賑わいをみせています。
コンビニがなくて、夜、急に何か買いたくなったらどうするの?
とよく聞かれるのですが、私も町の人も、
夜急に何も買いたくならないので、全然困りません。
朝早く起きて、夜も早く寝る生活。
町に娯楽がないので、夜遅くまで町を徘徊することもないので、
夜に何か欲しくなることがないわけです。
コンビニが無いのは無いなりの理由があるんですね。
とはいえ、開発区にはたくさんの工場があって夜勤をしている人も多いので、
コンビニがあれば、それなりにはやるような気もします。
今月の地元の重大ニュースは、
満を持してついにケンタッキーの一号店がオープンしたことです。
オープン初日は長蛇の列ができ、1時間待ち、2時間待ちということだったそうです。
ファーストフードがおしゃれと思われ、人気のある中国。
中国人は鶏肉を好みますから、なかでもケンタッキーは大人気。
上海をはじめ大きな都市では、少し歩けばたくさんのケンタッキーがあって
どこもお客で満杯という状態なのですが、まだ地元にはなかったのです。
地元の人はケンタッキーができることを長年待ちわびていました。
チェーン展開をするお店は、一定の人口がないところにはお店を出さないそうで、
ケンタッキーの場合は人口30万人以上の場所と決めているそうで、
それ以外にも、出店する地域の基準はたくさんあるようです。
開発区に投資を行う外資企業のおかげで町が潤い、人がたくさん流れこみ、
ここ数年で人口が激増、今年の人口は50.2万人になり、
晴れてケンタッキーが地元にできました。
ここで、日本の都市と地元中国のA市を比べてみましょう。
A市 面積 537平方km 人口 50.2万人
松山市 面積 428平方km 人口 51.5万人
どうですか?
実は、私のふるさとである愛媛県松山市と、ほとんど同じ規模です。
松山市のほうが少し人口密度が高い、というぐらいです。
松山市の人口について紹介すると、
平成17年のデータで、全国の都市の中で、25位となっています。
26位からは、東大阪市(51.2万人)、川口市(48.1万人)、
姫路市(47.7万人)、松戸市(47.4万人)と続いています。
四国の中では松山市が一番人口が多い都市ですし、
「中四国」の中では、10位広島市(114.6万人)、18位岡山市(63.8万人)
に次ぐ人口となっています。
東京、大阪から見たら「田舎」となるかもしれませんが、
地方の中では比較的大きな市といえると思います。
小さいとはいえ、松山空港は国際空港で、
上海便とソウル便が定期運行もしているくらいです。
当然、スターバックスもケンタッキーもマックもコンビニもあります。
が、中国で同等の面積と同等の人口のA市は、
コンビニもない、すごく小さな市なのです。
中国の大きさが分かる一つの事例かと思います。
さらに付け加えると、このようなA市ですが、
内陸部からの出稼ぎ者が相当多くいます。
登録ベースでは50.2万人とされる人口ですが、
登録されていない、いわゆる流動人口は20万人はいると言われています。
列車も通っていない、コンビニもないような都市に、
貧しい内陸部の人たちが、肉体労働に従事したり、
ウエイトレスをしたりするために、出稼ぎに来るのです。
日本で、コンビニがないような町に出稼ぎに来る人はいないでしょう。
中国の大きさを示すとともに、中国の経済格差を示す事例と思います。
上海から車で一時間ほどのところにある上海大観園。広い公園に、季節の花々が植えられ、古い建物も残されている、綺麗なところです。テレビドラマや映画のロケにもよく使われるとか。
2006/10/30