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夢の上海(チャイひめ)

第22回 中国の知的財産権事情

カバンや靴、スポーツ用品、CDやDVD、PCソフトなど、
様々なもののコピー商品が氾濫している中国です。

知的財産権に関する認識は、
コピー商品を作る方も、購入する方も、はっきり言って甘い。
作る方は、それで売れるのだから何よりと思っているし、
買う方は、多少品質が悪くても、安価にそれらしいものが買えて嬉しい。

コピー商品が出回るのはそうした中国人の認識もありますが、
中国国内で知的財産権を守る法律が整っていないことも大きな要因です。

私が中国で仕事をしている中で、
取引先の会社のコピーが出回っているという話もよく聞きます。

メーカーの考え方はそれぞれで、
有名税だと割り切っている会社もあれば、
法的実行力がないために、安価なコピー商品の製造を
苦い思いで黙って見過ごしている会社もあります。

自社の高い技術を、そう簡単にマネできるはずがない、
コピー商品の品質は悪いのだから・・・と安心していたところ、
低品質のくせに、外見やロゴだけはそっくり作られていて、
自分たちのところへ大量のクレームが舞い込んだ、という話もありました。

最近、私の勤める会社でちょっとした事件がありました。

私の会社は主に日系の工場に、日本製の機械部品を販売しているのですが、
ある日突然、江蘇省のとある業者から見積依頼のFAXが届きました。
その地域には取引先はないし、知らない会社です。

おかしいな、と思ってFAXされてきた部品のリストをよく見ると、さらにおかしい。

なんと、そこには私の会社の得意先であるA社が使用している
部品と全く同じものばかりが20点も書かれていたのです。

機械で使用する工具は精密で多岐に渡ります。
一つの部品でも、何千という規格があるものもあります。
ですのである会社と別の会社が、
全部、それも20点も同じものを使用するなんてことは相当おかしいのです。

さらにリスト中には、A社だけが使用する、A社のためだけに作られた
オーダーメイド品も含まれていたのです。

すぐに得意先に連絡したところ、
最近A社の主力製品のコピーを製造しようとしている動きがあること、
その業者と連絡してきた業者が同じらしいことが分かりました。

そんな業者に関わることは絶対にできません。
見積依頼をやんわりと電話で断ったのですが、
あきらめきれないのか、次の日突然会社までおしかけてきました。

やって来た人を、むげに追い返すこともできず、とりあえず話を聞くことに。

驚いたことに、業者は自分たちがA社の製品と同じようなものを作る計画のあること、
A社と同じ部品を使いたいので、A社に部品を販売している私たちのところへ来たこと、
A社に以前勤めていた人が、今勤めているのでいろんな情報が分かっていること、
A社の商品は一般的な技術のもので、自分たちが作っても何の問題もないこと、
などを平気な顔で、包み隠さず主張したのです。

お客様との信用が第一。
業者へ部品を販売することはできません。
ハッキリ首を横に振っている私の前で、かれこれ2時間は居座っていた業者ですが、
最後には逆ギレして「日本人の考えは分からん!」とか
「郷に入っては郷に従え!ここは中国だ!」などと言って、帰っていきました。

A社の商品は日本ではパテントに守られている商品です。
日本では許可なくコピーしたら違法行為ですが、ここは中国。
業者のふてぶてしい態度にびっくりしましたが、仕方のないことなのかもしれません。

それよりも私が驚いたのは、会社の中国人営業スタッフの言葉でした。
「あれだけうちで買いたいって言ってくれてるのに・・・」
とはっきりキッパリ断った私をちょっと不思議そうに見ているのです。

感覚の違いをはっきりと見せつけられました。


チャイひめALBUMより〜蘇州の庭園〜

チャイひめALBUMより〜蘇州の庭園〜

世界遺産に登録されている蘇州の古代庭園群の一つ。「東洋のベニス」と言われる蘇州は町を流れる川と、昔の富豪が作らせた庭園の綺麗なことで有名です。

2006/08/12