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散歩しながら(ぼうちゃん)

第66回 もう好きなことだけ

地震前には自分の趣味のことなど書き込んで
それなりに楽しんでいたけれど

あの地震以来もうそんな気分になれなくて
ツイッタ-は止めています。

こんなことを書いては仲間と楽しんでいました。


映画三昧。いいね。
日曜日、合気道の稽古のあと
昔の映画、成瀬監督の浮雲、稲妻をみたけれど、
山形勲、小沢栄太郎みたいな脇役が凄い。
イヤらしく男の匂いぷんぷん。

夜は円生、志ん生で落語三昧。
外は雪催い。


人見舞い洗濯物をたたみけり 齊  

穴の火よ誰にも言えぬことがある 齊

叔父貴は意識がないのに、
三年間も管を入れられて生きてたけど、
きまり悪いかったろうなと思うね。

だから、頑張らなくていいよ、
と言ってやった。


いもうとの匂い袋や春の暮  齊

夕方床屋で髭をあたって貰っていたら、
隣の客は被災地へ荷を運んでいる人。
惨状を語ったあと爆睡してた。

床屋の主人は起こさない。
いつになくやさしかった。


いつのまにいなくなってる猫と父  齊

これ川柳だけど親父てのはこんなもんだよね。
おいらも飄々として生きて
いつのまにかフッと消えたいもんだね。


こんな雨催いの日は遠いむかしのことでも思い出して。

はつなつの額につけし草の汁 

栗の花匂う土蔵のかくれんぼ  齊


麦の秋日暮れて祈ることばかり  齊


ふと考えるけど、
マイラストソングは何にしようかな。

荒木一郎/空に星があるように、
と言った人がいたけどいいよね。

幾つもあるけど、
今のおいらは映画主題歌「月夜笛」。
美空ひばり二十歳の声でね。

満開の桜もいいが
こんな月夜にフッと消えたいもんだ。


空豆やむかしの恋のほてりかな

妹のかいなひねりて青胡桃    齊


終日こんなに雨が降り続くと
ショ-モナイから
放射能のことは忘れて本を抱えて籠もる。

半七捕物帳。
吉行淳之介の驟雨。
CDはマ-ラ-の4番。

もう好きなことだけをする一日。


5メートル30センチ。

日本列島はあの地震で動いてしまったようです。

その深くて暗い穴を埋めに自然の揺り戻しは
いつかかならずやって来るわけです。


もう好きなことだけをするしかないですね。

2011/07/18