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散歩しながら(ぼうちゃん)
第54回 ビ-トルズよりも
落語をいくつか覚えたことがあります。
好きな噺家の落語を
テ-プに録って原稿用紙に
写して台本とします。
先ずは丸暗記します。
古典落語ですから
長い間練りに練ってある噺で
よく出来ています。
素読みにしても面白い。
それを名人上手が演じながら
喋るのですから面白くないはずがない。
それを真似しながら覚えていきます。
湯屋番
目黒の秋刀魚
百川
寝床
唐茄子屋
など。
私は六代目三遊亭円生が好きで
若い頃追っかけをしたくらいですから
まず円生のものから入りました。
余談ですが
私の若い頃は噺家の
黄金時代でしたから
小学生の頃はラジオで金馬の居酒屋
古今亭志ん生や柳橋など。
初めて寄席で聴いた六代目三遊亭円生。
文楽や小さん、正蔵、三木助など。
東横落語会や精選落語会
その他のホ-ル落語会には当時の名人上手が
綺羅星のごとく勢ぞろいしていました。
私が熱中したのはビ-トルズやロ-リングスト-ンではなく
寄席の太鼓と三味線の音であり
円生、文楽の噺でした。
落語を聴く少年でした。
品川心中や百年目という噺が好きですが
そんなおおきな噺は
手が出ませんから聴くだけにして
まず湯屋番、目黒の秋刀魚から覚えました。
素人がやることです、
人に聞かせることなどつゆほども考えません。
小説を読むように
声を出して読んでいきますが
どうしても円生の口調に似てきます。
テ-プが円生、馬生、志ん朝、談志なら
それぞれその噺家の口調になってしまいます。
むかしからコノ、
酒てえものはじつに人間を変えるもんデスナ、
なんて話し始めると
もうすでに円生の口調になっています。
そんな素人が一度
300人を前にして落語を喋ったという
世にも恐ろしいお話は
いまでも冷や汗が出ます。
それは次回に。
2011/06/07