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散歩しながら(ぼうちゃん)
第15回 粘るが勝ち
云われてハイそうですかと、
すぐに出来るようなら苦労はないので、
そのあと地道に精進するしかないのです。
習い事や自分の知らないことを
新しく始めるときは
何でもそうですね。
合気道の稽古でも
この技はこうすると力が抜けるのだと云われ、
ああそうかと其のとき納得しても
翌日からその通りに出来っこない。
何ヶ月も経ってからあの時に云われたことは
こういうことだったのかと気が付くわけです。
また不思議なことですが、
器用な人はすぐに技も覚えるし上手くなり、
傍からみてうらやましく思いますが
飽きるのも早いようです。
上達のレベルがある程度で止まってしまうのです。
それに比べて不器用な人のほうが長続きしています。
身体が納得するまで
繰り返し稽古をする粘りがあります。
もともと能力はそんなに差はないのだから
粘りのある人が最後は勝ちますね。
また俳句を詠むときにも
実感をよみ発見があること
自分に酔ってはならない、と言われます。
まず抽象的にならないこと、
ひとりよがりにならないこと
ハイそうですかと思いますが
そのとおりにならないのはもちろんです。
ひとつひとつ一歩一歩いくしかないですね。
早道なんかないのだと
やってみると分かります。
そして続けること。
これに尽きます。
地道にいくしかないわけですが
ただこういった凡人の話は地味で
面白くないでしょう。
やはり天才、奇才の派手な話は
人を飽きさせないものが多いです。
こんな話はどうですか。
ある人
升田幸三という将棋指しに
飛車落ちで負けた後の雑談
升田「途中まではあんたが絶対優勢じゃった」
ある人「どのあたりでしょうか?」
升田「駒を並べた時。
わしのほうには飛車が無いが、
あんたには有った」
ある人「…どの手が悪かったのでしょうか?」
升田「あんたが駒を動かしたのが敗因」
何と!
駒を動かしたのが敗因!!!
呆気にとられますが痛快な話です。
さすが将棋の名人の言うことは違う。
2011/02/09