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散歩しながら(ぼうちゃん)

第7回 言葉のすごさ

「辛えこともあるだろうが辛抱することだ。
夜が明けりゃあまたお天道さまが昇ってくる」

長谷川伸という劇作家を
若い人は知らないでしょうが、
瞼の母、関の弥太っぺなどの作者で
関の弥太っぺのなかの台詞です。

槿(むくげ)の花の向こうで
妹の小夜にむかって弥太郎がつぶやく名場面です。

映画では中村錦之助の当たり役でした。

何かにつけて芝居の
台詞が浮かびますが
これなどは錦ちゃんの
見事な台詞回しにうっとりと
聞いているだけでしたが
言葉には人を動かすという力があります。

「好きな仕事が出来ていければ
本当は一生さしてお金に縁がなくてもかまわない

これは邱さんの言葉ですが、
これも生活のある場面でふと浮かんできます。

私にしても
サムマネ-は欲しいと思いますが、
60過ぎるとただ金があれば
良いというものでもなくて

お金は不自由しない程度にあって
生きがいのある仕事があるのが
一番だという考えになります。

言葉というのは
発した人の気持ちがこもっていて、
核心を突いたものなら
たとえそれが書かれたものでも、
受け手に感受性があれば
必ず心に残るものだと思います。

その人の生活に影響を与えてしまう力があります。

大きいものでしたら
何十人、何百人の人たちを動かします。

政治家は演説で
国をある方向へ導けるし
小説家は書いた言葉で人をして
夢の世界へ誘うことが出来ます。

反対に空疎な言葉はむなしく
まったく心に響いてきません。

言葉のすごさを感じるときは
その言葉で頭の中がフル回転を始め
身体は自然に動き出している
といった時です。

ドラッカ-の有名な言葉がありますが
まさに動かされてしまう言葉です。

<何で覚えられたいか>

言葉のすごさを確信している人の
言葉だと思います。

<何で覚えられたいか>

こう言われたとき私の頭の中は
希望と反省、後悔と夢とが錯綜して
知らぬ間にこの言葉で
私は動かされていました。

世の中で
出来る人と出来ない人の差は
つまり政治家や作家でも
発信者というものは
言葉のすごさを知っているかどうかでしょう。

2011/01/21