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散歩しながら(ぼうちゃん)
第5回 運気はいつ来る
「人間には
運気が真に到来しないかぎり
いかなる精神力も闘志も空回りに終わる」
三十歳のころ占い師に
「貴方は五十過ぎてから運が向いてくる」
と言われたことがあります。
たいそう先の長い話で
それまで俺はうだつが上がらないのかと
腐った記憶があります。
しかし、その占いは結局当たったことになったのです。
三十半ばで転職し独立したとはいえ、
初めは無我夢中に身体を動かし
働くだけで理想の姿にはほど遠いものでした。
やる気はあり闘志を燃やしていましたが
それがすぐに実を結ぶというわけにはいきません。
試行錯誤の日々でした。
五十に手が届くというころ、
近所の不動産屋が近くに良い土地が出たと
いう知らせを持ってきました。
見に行くとたしかに広く清々して
家を建てるに適した土地だと思いました。
それまで使っていた自宅兼仕事場は
まだ古くはありませんが
狭くなってきていたので
広いところが欲しいと思いました。
しかし購入資金を考えると躊躇してしまいます。
そのときに
迷う私を強気に後押ししたのは妻でした。
やり繰りは何とかするから
思い切って買っちゃいましょうと、
たいそう乗り気です。
全額現金で買うことは出来ないので
結局ロ-ンを組んで
150坪の土地を買い
建坪54の家を建てました。
場所が良かったのでしょう、
その後数年のうちに
近所に十数軒の医院が次々に建ち、
この辺一帯はいま医者通りと呼ばれています。
運気はたしかに五十になってやってきたのです。
独自の技が身に付くのもこの頃からです。
治らない患者が治るようになったり
かけがえのない交友関係ができたり
偶然としか言いようがありません。
どんなに気力、精神力を奮い立たせても
駄目なときは駄目で、
そんなときは
ジッとしていたほうがましです。
いつか運は向いてくることもあります。<
そのタイミングを待つしかありません。
五十前後の出来事をふりかえると
私の力では及ばない
何か見えない力が働いていたと、感じます。
2011/01/17