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変化是機会(上野陽子)

第4回 外国人になる

中国・上海へ9月4日に出発するのですが
間近になると、いろいろトラブルが発生するものですね...。
でも、なんとか、準備を進めています。

ところで、私は
一定期間、海外に住むという経験が、これまでに2回あり
それぞれ、私の中に変化を巻き起こしてくれています。

生まれて初めての海外行きにして、1ヶ月間滞在したイギリス。
英語力の向上を目指して、7ヶ月間滞在したカナダ。

いずれも、語学留学の名目ですが
実際には、語学以外のエリアで、さまざまな事を吸収しました。

初めての海外・イギリスでは、
まったく英語が話せなかったため
「外国人」である自分を大満喫(笑)

今でこそ、世界各国でジャパン・ブームが巻き起こり
日本食、日本酒をはじめ、南部鉄器、武道にいたるまで
日本文化に触れることが、おしゃれとされています。

しかし、約10年前に行ったイギリスでは
街で子供に「イエロー!」と罵られたり、
意味もなく小突かれたり
いわゆる、差別的な扱いを受けました。

バブル景気に顕著だった日本経済の発展は
世界的に知られていましたので

ホストファーザーに
「日本は金持ちだからね」なんて事も言われてましたね。
今思えば、あれは、皮肉というかなんというか。

ともあれ、日本人、アジア人であるという事だけで
さまざまな、理不尽な体験をしました。

一方、
到着翌日に、かるく周辺を散歩をしているはずが、
道に迷い、途方にくれてる私に対し

「あなた言葉がわからないのね。大丈夫?」
と、話しかけてくれて

ゆっくり、何度も、繰り返して
帰り道を説明してくれるマダムに出会ったり

日本から来たことを言うと
「おー、遠くから来てるのねー」
と、喫茶店のおばちゃんがスコーンをオマケでくれたり

大きなスーツケースが持ち上がらなくて
駅の階段で立ち往生していると

ニコッと笑顔でイギリス紳士が
プラットフォームまで荷物を持って行ってくれたり。

心底うれしい思いもたくさんしました。

どれも、日常の小さな出来事なのですが
そのちょっとした出会いや経験から

日本人として日本で暮らしている中では
気付かない、なにか。

外国人として、マイノリティーとして暮らしているから感じる
なにかを、感じ取った気がしたのでした。

2005/08/29