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変化是機会(上野陽子)

第3回 良いも悪いも自分次第

私が社会人として新しい世界へ足を踏み入れた頃
ちょうど、雇用機会均等法、労働基準法が改正され
「男女平等!女性の社会進出!」と世間で騒がれていました。

学校を卒業したばかりで、右も左もわからない状態の私も、
メディアの情報に影響されてか

「女性だけ制服のある会社なんておかしいわ!」
とか
「お茶くみ、コピーとりはいやだなぁ」
なんて事を言いながら

今思い出せば、顔から火が出そうな恥ずかしい勢いで
「男性に負けないようにバリバリ頑張るぞー」
と気合を入れていたものです。

しかし、入社当初、私には不満がありました。

同期社員の中で唯一の女性だった私は
「女性のエンジニアなんて珍しいねぇ」
と、ちやほやされながら
IT系の技術者としてシステム開発に取り組んでいたのですが

同時に、お客様にシステムの説明をする
デモンストレーション要員としても
全国各地の営業現場へ借り出されていたのです。

出張は苦にならなかったものの、
技術の現場から離れる不安もあり

「女性のほうが、お客様ウケが良いからって、
 なんで私だけ...私は技術者なのに...」

と、営業支援の仕事については、不満だらけでした。

そんなある日、
一緒に仕事をさせていただいていた上司から言われた言葉が
私の意識を一変させれくれました。

「上野は場を和ませて盛り上げるチカラがあるねぇ。
 営業支援に呼ばれるのも、そういう理由からだろう。
 これは、あなたの持ち味だから、しっかり活かすと良いね。」

まさに、目からウロコの言葉。

「あぁ、そうなんだ...これ、私の持ち味なんだ...。」

今までの恥ずかしすぎる自分の傲慢さ。
そして、「女性だからって...」と
自ら変な差別意識をもっていた事に気付いたのです。

男女の別も含め、人には、それぞれ特徴がある。

この事に気付いてから
「自分を生かして働く」という事を考えるようになりました。

それからというもの、
積極的に現場の営業担当者と協力して、
それぞれのお客様に適した説明を
心がけるようになったのです。

すると、どうでしょう。

それまで、
言われるがまま、ただデモンストレーションをし
散々、不満を漏らしていた頃とは打って変わって

営業支援の仕事が面白くなり、
そして
営業の現場からも評価を得るようになったのです。

同じ仕事であっても、
自分の意識、目線が変わることによって
こんなにも楽しくなるなんて。

ちなみに、数年後
この変化がきっかけで、私は営業部門へ異動し
また新たな世界へと踏み出すこととなったのでした。

2005/08/25