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上海から家族への手紙(天真爛漫)

第117回 中国の工場で10年

中国共産党大会が終了して、
中国の新体制が決まりました。
日中関係はどうなっていくのか、
非常に気になる所ではありますが、
リーダーがどなたでも、
早く解決して
両国民の真の利益を考えてほしいと思い続けています。

話は、
全くかわりますが、
身近なところで
すばらしい工場に訪問することができました。
上海市郊外の松江にある工場なのですが、
一言でいうと
とても気持ちがいいのです。

見た目の整理はもちろんなのですが、
ワーカーさんたちの働く姿勢も
真面目で、
一生懸命に自分のレベルを高めようとしている姿勢も感じられました。
そういう環境をつくられている総経理(社長)に
お話を伺ったのですが、
10年間この工場の立ち上げから関わってみえて
周りは田んぼばかりで何もない状況だったところから
はじめられたそうです。

どんな設備が必要だろうかというところから試行錯誤され、
輸入の段階では、
税関等とトラブッたり、
交渉したりということも日常茶飯事であったとのことです。
ただ、
ワーカーさんたちの離職率は
賃金が回りの工場とさほど違わないのに、
極めて低くなっているそうです。

工場のあちらこちらに
掲示板がしつらえてあり、
この掲示板にワーカーさんたちの成績やレベルが
誰の目にも一目でわかるようにしてあります。
また、
それは製品の製造過程だけでなく、
工場の倉庫の管理やトイレ清掃にまでおよび
だれが責任者でどれだけがんばっているのか
あるいはがんばっとていないのかが
見える化されていてました。

製造の現場では、
ラインの作業台の高さは同じですが、
ワーカーさんたちの身長は皆異なります。
高さの異なる踏み台が用意されていて、
各人最適な環境で作業できるように
されています。

10年間かけて作りあげられてこられたのが
よくわかりますが、
総経理はまだまだだと仰いますし、
訪問された方の何の気ない一言がヒントになるのだと言われます。
それでもその一言を聞きもらさず、
すぐに実行にうつされ
チャレンジされる行動力の賜物であると推察しました。

総経理は、
工場やここのワーカーさんたちをわが子のように
可愛がっておられるのがひしひしと伝わってきて、
とても爽快な気分にさせていただきました。
このような企業のなかでは、
日中関係がどうのこうのというのは全くなく、
日本人と中国人がお互いに尊敬しあう
いい関係が構築されているのだなと
確信しました。

 とうさん

2012/11/24