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上海から家族への手紙(天真爛漫)

第115回 宿遷市って聞いたことがありますか?

反日デモの影響で、
イベントが中止になったり、
お客さんの上海がぱったりと
無くなっているのは
以前に報告したとおりです。

そのため、
最近は
こちらから企業を訪問させていただく機会が
少なくありません。

江蘇省宿遷市にある企業の工場を
訪問させていただいたのですが、
宿遷市ってどこにあるかわかりますか。
地図でみれば、
位置はわかるのですが
どのように行くと便利なのかは
わかりません。
何せ飛行機も、
高速鉄道も通っていないし、
車でいくには
少し遠すぎるような場所にあるのです。

行きは、
徐州市まで飛行機で行き、
そこから車を利用しました。
帰りは、
南京まで車を利用して
南京から高速鉄道で上海に戻りました。

宿遷市は、
秦の時代の項羽と劉邦の
項羽の生まれ故郷として有名だそうです。
また、
中国の大手白酒会社の一つ「洋河」という
会社・工場があることでも有名だそうです。

どのような行き方をとっても
上海から4時間半から5時間程度かかる場所です。
そこで、
一人で常駐され、
新工場の建設から
工場の運営管理まで
一人で担当されている方に
お話を伺いました。

時々出張で来られる方がある以外は、
基本的に一人だけということですので、
とうさんが
訪問して話をしていたら、
これほど日本語を話すのは
久しぶりとこぼされたのが印象的でした。
すべてが順調にいっていても、
日本人は会社に一人だけということでなく、
周りの地域にもいないという環境は
ストレスが溜まると思うのに、
工場の建設の遅れや労働争議などもあり、
3か月で数キロやせたというのも
いかに苦労が多いのかが
すぐに理解できました。

ご苦労のかいあって
従業員のハートも掴まれているようで、
これから生産・販売の拡大に力を注いでいくつもりであると
いう言葉にこちらも安心しましたが、
くれぐれも体には気をつけていただきたいと
お伝えしました。

9月の反日デモの際にも、
地元の政府が
心配してくれて、
警官を待機させてくれたが、
何も起こらなかったそうです。

中秋節のときには、
百人ほどの従業員に
月餅くらい配ってあげたかったが、
費用がどうしても捻出できなくて
申し訳なかったと話されるのを聞いて、
つらい日々を過ごしながらも
まず従業員のことを考えられる姿に
感動しました。

人知れない街で、
ひたむきに頑張っておられる日本人に
出会えてよかったと思いました。
今後も健康で元気に
頑張っていただきたいと祈念しています。

 とうさん

2012/11/11