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上海から家族への手紙(天真爛漫)

第93回 最近の中国の若者気質 その2

労働節の休みを利用して、
念願だった九賽溝・黄龍に出かけてきました。
期待を裏切ることなく、
とても素敵な場所でした。
ただ、上海から成都まで約3時間、
成都から九賽溝・黄龍まで約1時間かかります。
乗り継ぎの時間などを考えると半日以上が移動の時間となります。

それでもシーズンインしたばかりというのに、
すごい数の旅行客が世界中から
訪れているという様子がしました。
北京の故宮にひけをとらない盛況ぶりに
ただただ驚いてしまいました。

九賽溝・黄龍の様子のすばらしさは、
なかなか伝わらないので、
ぜひ一度自分の目でみてください。
できればツアーでなく、
自分の都合に合わせた計画が組める形が
お薦めです。

人の多さと別にもう一つ驚けいたのが、
ホテルの数です。
九賽溝の谷間に所狭しとホテルが林立している様子は
圧巻でありますが、
これだけのホテルが経営できるのだろうかという心配と
もし経営できるだけの旅行客があるとすると
だんだん世界遺産もすり減ってきてしまうのではないかと
心配してしまいます。

案内してくれたガイドは、九賽溝・黄龍内のグリーンバスを
クリーンバスと呼んで、
環境を破壊しないようにしていると力説していましたが、
実際は、単なる緑色のバスで
排気ガスを濛々と立ちあげながら走り回っていました。

細かいですが、
こういう基本のことを理解しないでガイドするのは
やはり情けないですね。

話は変わりますが、
1日歩き疲れたので、
ホテルでマッサージを頼みました。
90分360元でした。
かなり高い値段なのですが、
マッサージしてくれた女性の手に入るのは、
なんとたったの40元程度とのことです。
まあ、彼女の手当のことは別にして、
この彼女地元の女性で、
九賽溝のホテル街から約1時間のところに実家があるとのことです。
毎年、5-10月の観光シーズン中だけ、
ホテルに住み込みで仕事をしているそうです。
シーズン中は、
近いにも関わらず、
実家には一度も帰らず、8人相部屋でお金をためているとのことです。
シーズンオフには、実家に戻り、何もせずに遊んでいるとのことです。

冬の間、アルバイトはしないのかと尋ねましたが、
するアルバイトがないとの答えでした。
じゃあ、成都などの大都市に行って、
アルバイトしないのかと再度尋ねたら、
成都は、怖いとのことでした。
何が怖いのかわかりませんが、
二十歳そこそこの田舎の女性が、
大都市に出て行くのは、
非常にハードルが高いということでしょうか。

自分で望んで選んだマッサージの仕事ではないでしょうが、
それしかないということで、
我慢しながら仕事を続けていくつもりだということです。

因みに彼女は、
生まれてから一度だけ九賽溝にいったことがあるとのことです。
黄龍にはまだ行ったことがないそうです。
目と鼻の先に、
すばらしい世界遺産があるにも関わらず、
あまり目にすることもなく、
都会へのあこがれも持たない彼女の気持ちを
詳しく聞きたかったのですが、
残念ながらそこまで
中国語の能力がありませんでした。

中国の若者も十人十色ということでしょうか。

とうさん

2012/05/06