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パラン・パラン(スエナリ)

第78回 白骨

24日、妻の父の葬式でした。
ずっと、天候が悪かったのですが、
この日は朝から快晴で、僧ヶ岳が雪をかぶって、
綺麗でした。

22日の午前2時に病院から電話あり、
駆けつけるが、死に目に会えませんでした。

22日が、まさに、88歳の誕生日でした。
一ヶ月前に家で倒れ、救急車で病院に運ばれたのです。
死亡診断書によると、一年前、骨髄異型性症候群で
一ヶ月前、急性骨髄性白血病と書いてありました。
骨髄の造血幹細胞が赤血球を作れなくなって、
それから、白血病に移行していくとか、
青島幸男もこの病気だったそうです。

医者は余命2ヶ月ぐらい、と云っていましたが、
ちょうど、一月でした。
盆には墓参りした時は、やっと、歩いていたのですが、
急にガタガタと衰えていきました。

納棺夫は遺体を、病院衣から、われわれの見てる前で、
上手に死装束に着替えさせるのです。
また、義父は口が開いて閉まらなかったので、
綿を口の中、上,下歯ぐきに詰めて,
唇が合うようにし、顔を剃って出来上がりです。

焼き場の骨上げでは、尼さんがお経を上げる中、
親族が順番に骨壷に骨を入れていくのです。
わたしは、大腿骨と肩甲骨、椎骨を入れました。
頭の骨は別の小さい骨壷に入れます。

尼さんや係りの人を相手に、
骨はカルシュウムで粉薬にしたもんだとか、
女の骨壷を盗むのが最近何件か遭ったとか、
云いながら、その作業を終えたのでした。
義父はこのような場面ではいつも、
「おらたちも、そのうち、こいがに(骨)ならいちゃ」と
他人事のように云っておりました。

「それ、人間の浮生なる相を・つらつら観ずるに・・・
朝には紅顔ありて・夕には白骨となれる身なり、
すでに无常の風きたりぬれば・・・・・・
野外にをくりて、夜半のけむりとなしはてぬれば・
ただ白骨のみぞのこれり・
あはれといふも中々をろかなり・・・・・・」
(蓮如)

参列者は少なく、質素で、あったかい葬式でした。


2008/12/27