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アジアに魅せられて(おにぎりパクリ)

第2回 現地を好きになり、「第2の故郷」とする!

私がフィリピンに駐在している間、何度も読み返した本に
「日僑の時代」という本があります。

この本では、経済の発展に伴い日本円が高くなり、
日本国内での生産活動では利益を上がらなくなり、
否応なしに企業が日本から出て行くことを予言して
います。

その際に、日本人各々も海外現地で生活せざるを
得ないことになるため、送り出された現地にて仕事、
生活をする際の心構えとなる教訓が書いてあります。
例えば、「恒常的な円高が進むと企業が海外展開を
辞めて日本へ引き上げる可能性はない。」とあります。

このことによって現地に駐在する日本人の考え方も
意識的に変えていく必要があることを指摘しています。

「現地に安住の地を求めて一生懸命働く華僑を見習って、
日本人も数年で帰ることを考えずに如何に現地を好きになり、
現地の長として従業員から尊敬され親しまれなければ、
企業の業績を上げることが難しい」とあります。

私の経験を振り返ってみても、日本式の仕事の仕方で
兎に角様々な仕事を次から次へと与えた最初の2年間
では、私の下にいた部下が給与との見合いが合わないと
ボイコットを起こされ結果全員辞めてしまいました。

その後、現地の方の気質を尊重し、アウテイング
(会社による旅行)などフィリピン式の習慣を心から
楽しみ、日本式の仕事を取り入れながら、現地式の風土
を尊重するという意識で仕事に取り組むことで労務管理
は非常にうまくいくようになり、当時雇用した従業員は
私が現地を離れて3年以上経った今でも活躍しています。

また、今にして思えばその国で数年間の滞在だという期間
限定で考えず、第2の故郷にするぐらい定住する覚悟を
持っていれば、更に事業創出や理財の機会にも恵まれた
ように思います。

結局、私個人の仕事であるプロジェクトを管理し、安全面、
収益面を管理するという基本的な業務は松任したのですが、
現地の長として営業活動にも積極的に参画し、現地の雇用を
本気で守るという意識が希薄だったと反省する次第です。

2011/01/15