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本当に面白い簿記・会計(おにぎりパクリ)

第12回 資源高とは?

もしもしQさんQさんよ「第1716回「原料高の製品安」がこれからの常識ですが」
を読んで以来、原料高とはどういった原料が幾らぐらいになるのか。
製品安とはどういった商品が影響を受けるのか。
私はずっと気になってきました。

つい先日邱先生が紹介した「中国の時代」の著者、
ジム・ロジャーズさんが書いた「商品の時代」を読んで、
状況をより理解することが出来ました。

彼の本の中で取り上げている商品は、石油、鉛、砂糖、
コーヒーですが、今回のコラムでは石油を取り上げます。

著者は、商品はすべて需要と供給の関係で決まると述べています。
2008年に石油価格が20ドル台から150ドルにまでなったことは
皆さんの記憶に新しいかと思います。

そのうち、今後の変化を及ぼす需要サイドの大きな流れから見ると、
中国が現在一日辺り540万バレルを利用していますが、
アメリカは1,500万バレルを消費しています。
中国の他の商品を見ると、銅、鉄(2009年 10億トン中、4億トン以上消費)
等は既に世界1位の消費量を誇っており、石油の需要も更に
増えていくであろうことを記述しています。

一方、供給サイドでは、OPECの埋蔵量の過大申告を取り上げており、
また1970年以降、大型油田がカスピ海沿岸で見つかっっていないこと、
サウジアラビアの石油生産量が減少し始めると幾人かの科学者、
事業者が指摘していること、更にロシアや旧ソビエト圏の共和国、
アゼルバイジャン、トルクメニスタン、カザフスタン、
更にはアフリカには大量の石油が眠っているが、長期的な開発、
維持を行う資本家、政治体制が整っておらず開発が進むとは
考えにくいと論じています。

著者は、石油を掘り、精製し、輸送するための投資の不足、
及び需給の不均衡によって石油価格は大幅に上昇していくことを推測しています。

ここで面白いのは、石油価格が上がる予測に対して、
邱先生が石油掘削の設備メーカーや代替エネルギーを
開発する企業に目をつけて投資をしているのに対して、
ジム・ロジャーズさんは、商品先物市場にて商品・
商品INDEXを直接購入することを勧めている点です。

ここに、お二人の哲学の違い、つまり人の役に立つことを
やっている事業、人に投資をするスタイルと、市場を相手に
どうするかを第一に考えるスタイルに分かれます。

私は、事業会社で同僚と共に働いて皆で給料を稼いでいることもあり、
人の役に立つ事業、投資をして、お金を儲けることに拘りがあるため
邱先生の考え方がしっくり来ます。。

ただ、世界中すべての大陸をバイクや車で旅行し、
実地(生産現場、経済、政治体制)の状況を把握し、
現金(通貨)、商品、株式、債券への投資先を探る
というジム・ロジャースさんの発想には新鮮さに感じ、
邱先生の行動力と似ているところもあるなあと思いました。

2009/06/22