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本当に面白い簿記・会計(おにぎりパクリ)

第5回 実行重視の会計学

私は今、事業部の収益管理業務に携わる一介
のサラリーマンです。これまで実務の中で、
会計を学び、収益管理、設備投資の意思決定、
財務諸表の作成業務に携わってきました。

しかし、狭い範囲での実務は分かりますが、
会計を通して会社全体の経営の実行を良くするには、
どうするべきかといった視点で会計を体系的に
勉強したことはありませんでした。

一方、会社では財務担当のみが簿記・会計の
知識を持ち、数値を把握するだけでは、
会社の経営の改善に繋げることはなかなか
出来ないと感じていました。

寧ろ、本来会計知識を活用し、経営に生かして
いくべきポジションは営業部門や製造部門、
試験研究を担当する研究者やM&Aを行う
経営者の側にあり、財務部はそれに対して
一緒にサポートしていく立場ではないかと
考えています。

例えば、正しい経理処理は重要ですが、その前の
意思決定の方が更に重要です。つまり、
意思決定を行う部門がどれだけ会社の目標と
実績を踏まえ、判断していくかが会社の経営を
改善するポイントです。

元信越化学にて38年間経理・財務の実務に
携わってこられた金児 昭さん(以下金児先生)は
実際の会社経営に結びつく会計学を提唱されています。

この方は会社で経理実務を行うと共に、20代から
30代のある期間、経理の学校に平日の夜と
土曜日の午後、日曜日の午前・午後と徹底して通われ、
相当な勉強をされた方です。

また、M&Aの実務経験や経理・財務の担当として
何人もの社長に仕えたことで、会社経営と
会計・簿記の世界を実務で極められた方です。

その金児先生にとっても、学校で教わる簿記と
会社で経験する会計実務には大きな開きがあると
感じていらっしゃり、信越化学を退職された後に、
会計制度の変更を提唱すると共に、分かりやすい
会計を財務以外のビジネスマンに伝えることに
全力を尽くしていらっしゃいます。

金児先生は、「教わらなかった会計」という本で
従来の会計学が企業の中で起こったことを
会計的に表現してきたにすぎなかったのに対して、
会計とはすなわち企業の経営実行そのもの
であると述べています。

今やっている仕事や家族経営とつながる会計実務
として会計・簿記を体系的に、且つ分かりやすく
勉強し、実践できれば、社会人にとって
大変面白いのではないでしょうか。

2009/02/11