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知者不言、言者不知(村上悠悠)

第30回 私の目標

皆様、明けましておめでとうございます。
なんとか1年間、コラムを続けてみました。
と言っても、他の方たちに比べると
格段に更新回数が少なくてお恥ずかしい限りなのですが。

さて、新年にあたって
私の近い目標としては
中国語の上達や、中国株で儲けることなど
いろいろありますが、
遠い目標としては
私の叔母のようになれたらいいな、と思っています。

叔母は今年75歳になりますがいつも好奇心旺盛で
いろいろなことに挑戦しています。
一昨年、初めて「第九の合唱」に参加しました。
叔母はドイツ語なんて、もちろんわかりませんが、
ちゃんと歌うことが出来ました。
さまざまな年齢層のお仲間と素晴らしい合唱でした。

地方に住む叔母は長男家族と住んでいます。
イチゴ作りという本業がありますが
孫たちの習い事や塾の送迎はほとんど叔母がしています。
叔母は孫のピアノ教室への送迎をしているうちに
自らもピアノのレッスンを受けることを思い立ちました。
そして、発表会にも登場しました。

今年はその第九合唱が再びありました。
今回も素敵な合唱でした。
そのCDを作成して叔母に届けに行きました。

別れ際、私が
「これから、お正月の花を買って帰るの」
というと、叔母は
「ちょっと待ってなさい」と言って
はさみを持って庭に出て行きました。

庭の蝋梅を見上げて
「うん、このあたりがいいかな」と一枝手折った。

次に、千両も手折った。
手折った千両をしばし見つめて
「葉っぱが多すぎると赤い実が引き立たないからね。」
と言いながら、思い切り良く葉を落としていった。
すると、みるみる赤い部分が際立っていくのだった。
「すごい!」私は感動の声を上げた。

「松もないとね」と松は箒のような松葉を取ってきた。
「少し面白みを入れようね」と言って
銀色に塗った小さな松ぼっくりのような実を付けた枝を加えた。

あっという間に、正月用の花が出来上がった。
「すごい、すごい!」

それはまるで、千利休が茶の心得で説いたように
もてなす心で、山に分け入り
来客のための花を探すようでした。
カッコイイ!と心から思いました。

叔母は正式な華道を続けているわけではないという。
基礎的なところは少し習いにいったことはあるけど
あとは華道の展覧会があると見に行き
商店の飾りつけでも、目の留まる花があると
側近く見て、記憶にとどめ
そのやり方を真似て、自宅で活けてみる。
テレビを見るときでも、目を引く花のアレンジメントがあれば
すぐにやり方を推察し、自分でもやってみる。
そんな繰り返しで、いつの間にか花の達人になったのだ。

今では、周りの人たちがすっかり当てにして
「勤務先に来客があるから花を飾って」
と、娘や嫁が頼んでくると言ってました。
それはそうでしょう、
ほんとにあっという間に作り上げてしまうのですから。

こういう生き方のお手本が身近にあって
私は幸せだなぁと思います。

2009/01/01