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知者不言、言者不知(村上悠悠)

第24回 ヘソクリの引け際(2)

私の聞いた話 その1

一人の人は、70歳を過ぎて
病気になり、一時、退院しますが
再び入院、不帰の人となりました。

その娘さんが言うことには
「時々、ママ(未亡人ですね)から電話があるの。
パパのヘソクリがまた見つかったって。
「まぁた、あったわよぉ。」って」

亡き父君は封筒に入れた札束を
いろいろな所に隠していたようです。
普段使わない客用の寝具の下であったり
書棚の中の、絶対誰も読まない全集の隙間だったり
いろいろなところに。

その金額が結構大きくて
一番多い封筒には100万円も入っていたとか。
「すっごーい!じゃあ、総額って1千万円以上なの?」
「ああ、そこまでは行かなかったな」

ほぉー、結構なヘソクリですよね。

「見つかるたびに、
美味しいものを食べに連れてってくれるから
ま、いいんだけど。
でも、きっとパパは何か遣いたいことが
あったんだろうな。」

そうですね、何に遣いたかったのか?
でも、遣いたいことが特には無かったのかもしれませんね。

2008/10/20