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とことこ古都散歩(宮田琴)

第11回 雪見カフェ 〜冬の愛宕山〜

久しぶりの更新となってしまいましたことをお詫び申し上げます。

師走を迎えて京都もすっかり冬支度が整いつつあります。
錦市場では季節の野菜やお正月用品が並びはじめました。

なかでも目を引くのは「海老芋(えびいも)」と呼ばれるお芋です。
おおぶりな里芋のような風貌でちょっと扱うのが怖い感じもするのですが、
里芋より、ねっとり感がすくなく淡い味にも良く馴染み、
煮崩れもしにくいので京都の冬には欠かせない野菜のひとつです。

この海老芋、鶏のつくねと炊き合わせにすると大変おいしく仕上がります。
芋は厚く皮を剥き下茹でをした後、かつおと昆布で取った出汁に
薄口醤油とみりんで味つけたつゆでさっと煮含めます。
つくねは鶏肉と白味噌、少量の出汁を混ぜ団子状にしたら
先ほどのつゆを少し取り分けておいたもので煮ます。
椀に盛り、仕上げに刻んだ柚子の皮をのせて出来上がり。
これを頂くと外の寒さも忘れるような暖かい心持ちになります。

海老芋

さて
冬の散歩道にもいろいろありますが、
私が好きなのは愛宕山詣出です。

愛宕山は標高924M。
これは散歩と呼ぶにはちょっと「しんどい」のですが
アドバンス散歩ということでご紹介致します。
愛宕山といえば7月末の千日詣でが有名ですが
私がお勧めするのは雪が降るころです。
12〜2月の雪が積もるころに愛宕山に登ると
きりっとした空気の中に音が吸い込まれて消えていくような静けさの中で
スノーハイクを楽しむことができます。

行きは月輪寺経由の裏参道をとおり
雪を踏み締めながらトレッキングを楽しみます。
こちらは展望コースで、京都市内だけでなく
良く晴れている日には滋賀の比良山系がきれいにみわたせます。

頂上では夏にくらべて木々の葉っぱが減っているので
京都市内の眺望がより多く楽しめます。
持参したバーナーでお湯を湧かしたら暖かいコーヒーで体を暖めます。
あなたの座っている場所は京都で一番静かで素敵なカフェになることでしょう。

愛宕神社で火除けのお札を授かったら
午後の陽が差す参道をゆっくり下ります。
帰りは表参道を通ります。
途中の分岐で柚子の里・水尾に抜け
柚子風呂、鶏の水たきなどを楽しむのも良いと思います。

愛宕さんの火除けのお札は、
京都の家庭にはおなじみのものですね。
おくどさん(台所)に貼ってあるのをあちこちで見かけます。
冬はあたたかいお料理が恋しくなる季節ですから火を使う機会も増えますね。
この時期にお札を新しくすることで、
「火の用心」にはますます気をつけたいものです。

アクセス:
京阪電鉄「三条」または阪急電鉄「嵐山」から京都バス「清滝」下車。
トレッキング所要時間は目安で片道2〜3時間はみておきましょう。

積雪状況にも寄りますが、防水の登山靴、軽アイゼン、
ストック、地図などをお忘れなきよう。
準備は入念に、天候や体調の悪い時等は無理せず引き返す勇気を持ちましょう。

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戸田ゼミ通信開設時からお世話になって参りましたが
今月を持ちまして連載を終了させて頂くことになりました。
短い間ではございましたが、大好きな京都をあらためて勉強する
たいへん良い機会となりました。

執筆のチャンスを与えて下さいました戸田敦也さま、
いつも良い刺激をお与え下さった他コラム執筆陣の皆さま、
そして当コラムを御愛読頂きました皆さまにこころよりお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

新しい年も皆様にとって素敵なものとなりますようお祈りしております。
そして、京都の町かど路地の奥、どこかでまたお会いできますように。

宮田 琴 

2005/12/13